« 深代惇郎 柴田俊治「旅立つ」 | Main | 谷保天満宮で白玉しるこ 2015/2/11 »

本田靖春「警察(サツ)回り」

本田靖春「警察(サツ)回り」
 「警察回り」とは新聞やTVの若手記者が事件を求めて警察署を廻る担当のことだが、この本には警察から出た事件が出てくるわけではない。この本も深代惇郎関連である。「天人」に出てきた本。
 著者の本田は元読売新聞の記者で上野署のサツ回りをしていた。その時、たまり場になったのが「バアさん」のトリスバー。そこには本田はこの店の開拓者だったが、同じ上野署のサツ回りを担当する朝日新聞の深代や様々な人たちが出入りする。そんな昭和30年代前半の新聞記者たちを描いた作品である。
 「バアさん」とのかかわり、さまざまな記者たちの話、そして当時99%以上を占めていた低所得層や浮浪者中心の売血から一般の人の献血への切り替えを本田が中心になって行った「黄色い血」キャンペーン、そして深代の死をめぐる話、最後に「バアさん」の死で終わる。「バアさん」が全編にわたり中心ではあるが、本田の次に登場するのが深代であり、この本のタネ本のひとつになる「バアさん」の日記も深代が勧めて書かせている。彼は天声人語執筆時期に「バアさん」の帰化申請書の手直しをし、それを読んだ担当官が「これほどのものは今まで読んだことがない」と感動して異例の早さで認可された。
 「天人」に引用されている箇所も多いので、けっこう二度読みになるが、当時の新聞記者と時代(東京オリンピック前)を知るには良い。「バアさん」が台湾から戦後に来日し苦労した人であり、明るい話ばかりではないが、妙にさわやかな読後感が残る。

|

« 深代惇郎 柴田俊治「旅立つ」 | Main | 谷保天満宮で白玉しるこ 2015/2/11 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/2457/61080895

Listed below are links to weblogs that reference 本田靖春「警察(サツ)回り」:

« 深代惇郎 柴田俊治「旅立つ」 | Main | 谷保天満宮で白玉しるこ 2015/2/11 »