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半田淳子「村上春樹、夏目漱石と出会う―日本のモダン・ポストモダン 」

半田淳子「村上春樹、夏目漱石と出会う―日本のモダン・ポストモダン 」
 面白い。
 MURAKAMI Haruki STUDY BOOKSの6冊目として刊行された本書の作者はICUの上級准教授で、元になった論文は英文。著者は春樹ファンではなく、純粋に比較文学的な内容であり、やや固めであるが、それだけに説得力がある。女性の視点からの論評も新鮮。
 1.「吾輩は猫である」と「羊をめぐる冒険」-20世紀の「時間」意識
 2.「三四郎」と「ノルウェイの森」-逃げる男と見限る女の物語
 3.「それから」と「ダンス・ダンス・ダンス」-怯える男と救済する女の物語
 4.「道草」と「国境の南、太陽の西」-都市型家族の神話
 5.「満韓ところどころ」と「ノモンハンの鉄の墓場」他-「身体」の東西と「アジア」の発見
 エピローグ-井戸の話

 漱石の「満韓ところどころ」は読んだことがない。

 漱石との比較は、柴田勝二「村上春樹と夏目漱石――二人の国民作家が描いた日本」を読んだことがある。こちらは「1Q84」まで述べた最近の作であるが、これとは似た部分もあるが、かなり印象は異なる。
 「中国行きのスロウボート」の頃の春樹の中国人への意識については、柴田と半田では全く反対であり、半田はアジアについて意識するようになったのは春樹がプリンストンで過ごした以降であると断じている。

 20世紀の時間とは、太陽暦である。それは1時間や1分がどの季節でもどの場所でも同じ長さ(太陰暦は日の出から日の入りで1時間が決まるので長さが季節と場所で異なる)の暦を統一的に採用することで初めて鉄道運行が可能になる(これは鉄道マニアの原武史「大正天皇」とかでも基本事項として述べられていた)。

 「ノルウェイの森」の直子の通う大学のモデルは英語教育で有名な女子大で、近くにはきれいな用水が流れているとのことで、津田塾だと思っていたが、本当はICUらしい(女子大ではないが)。ICUの横にある野川公園は昔はICUが保有していやゴルフ場で、ここは「風の歌を聴け」で登場する。昔は牧場もキャンパス内にあったとさ・・・。野川公園には行ったことがあるがICUには行ったことがないので雰囲気がわからないが。

村上春樹と夏目漱石――二人の国民作家が描いた日本

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