酒井英行「『ノルウェイの森』の村上春樹」
とてもとっつきにくい本である。
導入部もなく、いきなり決めつけから入る。これじゃあ、小学生の読書感想文じゃあないか、と最初は思ったが、徐々に慣れてきた。しかし同じ村上春樹の解説本でも加藤典洋と比べると不親切だし、独善性が強いなと思う。まあその分、意外であり、意表をつく。
「ノルウェイの森の・・・」との題名だが実際には最初に4つの短編についての解説、そして「ノルウェイ」のあとにはその続編ともいわれる「国境の南、太陽の西」についての考察がある。
後者の島本さん、イズミと「僕」との同一性のあたりは、まさに意表をつくが、この物語の後半に登場する島本さんやイズミが全部「幽霊」なのはいかがなものか、と思う。まあ、思うのは勝手だが。
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