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加藤典洋「村上春樹の短編を英語で読む1979~2011 」

加藤典洋「村上春樹の短編を英語で読む1979~2011 」
 村上春樹の80の短編のうち英訳されている主要なものを読み、主に非日本人学生向けに講義した授業を元に日本語で記載された本、というわかりにくい題名の本である。
 短編を題材にしたのは長編と長編をつなぐ著者の成長や思考のあとが見つけやすいこと、英訳本にしたのは原作との対比でより考えることができるから、というのがざっくりした理由。
 ざっと厚さ5センチ500ページ近い大部の本であるが、最初のほうは著者の意思がよく見えず、うろうろしていたが、途中から面白く読んだ。

 村上の短編は長編以上に不可思議な話が多いが、それをいかに深読みできるか、という素人的な興味で読んでも十分面白い。加藤典洋はイエローページも2作出しており村上フリークの一人ではあるが、イエローページよりも突っ込みどころが満載であり、読み応えがある。作者自身も途中で言い訳するように、それは深読みしすぎだろうというところもあるのはご愛嬌。
 
 最大の読みどころは「デタッチメント」から「コミットメント」への変化についての意味合いの違いではないかな、と思う。一般的には村上春樹が初期の「デタッチメント」すなわち社会に対して無関心的な方向の作品だったものから、阪神大震災と地下鉄サリン事件を機会に「コミットメント」すなわち社会的な責任をまっとうする方向に向かうという説明についての異論である。そして最初に出てくるこの部分の説明がかなりわかりづらく読み進めない理由でもあったが、それでも無視して読み進むと著者の言わんとするところが呑み込めて、あとはさああと読み進める。

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