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太田啓之「いま、知らないと絶対損する年金50問50答」

太田啓之「いま、知らないと絶対損する年金50問50答 (文春新書) 」
 図書館の予約件数も多く、AMAZONの中古価格もほとんど下がっていない人気書であるが、たしかに良書である。震災直後にまとめがかかれており、その点でもタイムリーである。大震災以前に書かれた金融・経済関連の書籍については、では震災復興資金、税制をめぐってどういう影響があるのか、という疑問点が残ってしまうからである。
 著者は朝日新聞の年金スペシャリストであるが、なぜ文春からの出版なのかがひっかかる以外は、明快。

 震災や原発事故報道と同様にマスコミが、如何に中身を理解しないまま扇動的な報道をしているのかが、マスコミに所属する個人の手で解明されている。

 年金に関する扇動的な報道は多数あるが、著者は本書のなかでいくつかを整理、否定している。もちろん民主党の抜本改革も。

 「年金崩壊」は「保険料不払い」から来る話だが、そもそも6割とかいう納付率は、年金全体の6,900万人のうちの2,000万人にあたる国民年金の部分でありサラリーマンや専業主婦の厚生年金や3号には何の影響もないこと、国民年金未納になっても、将来年金をもらえないのは未納の人の話。またそもそも6割といっているのが「6割の人が支払っていない」という記事は無知の証明であり「本来支払うべき金額の6割」が正しく最終的な支払率は31%であり、この区別ができない記事は信用してはいけない。
 それとこれは著者の主張であるが経済界が主張する「全額税金方式」(国民年金を全部政府負担にする)は「賦課方式」(現役世代の保険料で年金を賄う現在の方式)よりも莫大な税金(消費税になるだろう)がかかるが、それを推進するのは基礎年金部分の企業負担を嫌う財界の意向が強いことが知られていない。このあたりは会社の経理をちょっとやっていれば知っているが、給与のざっと8%が厚生年金でもっていかれる場合、同じ額だけ会社も払っている(あわせて約16%)。この部分が会社としては節約される。

 その他、年金記録問題や年金基金流用によるXXトピアの破綻など不正問題が多数あったものの、金額的には132兆円の積み立てを持つ年金資産からすれば、かゆいかもしれないが、痛くはない、という規模。だから国民年金を支払っていない人も免除措置があるかを確認して、とりあえず今の制度を一度確認したほうがいいですよ、という本である。
 国民年金や厚生年金に加入・支払をしながら個人年金に追加で加入するのは本人の自由だが、もし前者に入らずに「自分のことは自分でやる」という意気込みで個人年金だけに入るのは、無知無謀。

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