原武史 保阪正康「対論 昭和天皇」
近代天皇論が専門の原武史と昭和史を中心のジャーナリストである保阪正康の対談。
原武史が「昭和天皇」のはしがきで述べたように語りつくせなかった部分があるとともに保阪さんとも微妙に意見が分かれる部分もある。もちろんそれが対談の醍醐味でもある。
これを読む限り、昭和天皇の戦争責任については相当部分あるとしているのに対して保阪はそれほどではないという印象。
原は「昭和天皇」でも述べているが、昭和天皇が終戦に踏み切る理由として、これ以上の戦闘は三種の神器よ国民の生命を失うと、国民よりも三種の神器を上位に持ってきていることを天皇の心情を吐露する言葉として重視している。
明治時代に決着して明治天皇も認めた南朝正統説のもと、現在の天皇の正統性は南朝から三種の神器を受けたことによる。そのため三種の神器にさまざまな報告をする祭祀に昭和天皇は熱心で、今上天皇は昭和天皇よりもさらに熱心だといわれる。昭和天皇、今上天皇の猫背が祭祀のためとも原は述べているほど・・・。
いずれにせよ少し意見の違う人の対談はテーマにかかわらず面白い。
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