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原武史「鉄道ひとつばなし」

原武史「鉄道ひとつばなし」
 講談社のPR誌「本」に連載中のコラムをまとめたもの。
 「本」はこの一文があるので購読している。「大正天皇」などの著作があるれっきとした政治学者なので(本人はオタクではないと言っているが)、鉄道オタクによるネタ本ではなく、鉄道をネタにした文化論や時には政治論的なタッチのエッセイが多い。とはいえ旅関連のベストセラーである「日本鉄道旅行地図帳」を、今尾恵介と共同監修しているので十分オタクであるが・・。

 1996年から2003年までの連載記事をまとめたのが本書。
 歴史、文化、政治、鉄道王、駅、車窓風景など万遍なく書かれておりしかも、 全部が面白い。

 特に冒頭の一文「時間意識から見た東北と九州」は目からうろこ、鉄道本の冒頭にふさわしい。
 明治の初めに鉄道が運行されるということは、それまでの日本人の時間感覚を大きく転換させることである。1時間や1分の長さが決まっている太陽暦の採用は1873年であり、鉄道開通(1872年)よりも遅い。当時は日の出から日没までの長さで時間を決めていた太陰太陽暦である。場所によって示す時間が異なっていては鉄道の運行はできない。これを可能にしたのが太陽暦である。テーマにある東北と九州とは時間感覚が東北のほうが厳しく九州が緩かったらしいというのが当時の時計店の数と鉄道の敷設実績からみていったもの。

 近代の天皇論が専門の政治学者としての視点では皇室と鉄道関係はかなり出てくる。明治以降の天皇と鉄道、神社とお寺の扱い(お寺である円覚寺は横須賀線に境内を2分されてしまったが、神社である府中の大国魂神社は長く京王線を2分していた)やお召列車などは面白い。

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