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浅田次郎「中原の虹」

浅田次郎「中原の虹」
 久しぶりにスケールの大きな歴史小説を読んだ。
 たまたま見たNHKのドラマ「蒼穹の昴」が面白かったので、浅田次郎の原作を図書館で探したら、予約多数だったので、同じ作者の別作品を探した。「中原の虹」は張作霖の話のようだ。張作霖といえば戦時中は「満州某重大事件」、学生の頃の日本史では「張作霖爆殺事件」という関東軍の陰謀で名前だけは知っている当時の中国の軍閥で、息子が張学良、この人がいわゆる双十二事件(これも日本史では「西安事件」と習った。双十二というのは12月12日に起こったから)を起こす。受験の日本史の知識なんぞその程度であり、張作霖がどのような人物であったかは全く知らない。
 で、読んでみた。
 単行本4冊の長編であるが、面白かった。

 読みやすかったのは、「蒼穹の昴」に登場する人物と登場人物がダブっており、架空の人物も同じであること。途中で人間関係がわからなくなるとNHKの「蒼穹の昴」のサイトを開いて関係を調べた。
 張作霖は東北、すなわち満州の軍閥であり、自警団から発達した馬賊の長である。彼を取り巻く人々と、一方で「蒼穹の昴」の中心である西大后を取り巻く人たちの物語。一方で、女真族である愛新覚羅ヌルハチ以下が満州から中原(満州から見て万里の長城の先の中国本土)を目指す情景が並行して描かれている。

 張作霖の天才・異才に惹き込まれる。袁世凱もたじたじで、日本の関東軍は彼を列車ごと爆破してしまうしか手がなかったのかな、と思う。もっともこの作品はそこまでは描かれていない。

 全体として非常に面白い話なのだが、張作霖の周囲や西大后の周囲の準主人公格の人物がモデルはあるとはいえ架空の人物で固められており(「蒼穹の昴」も同じ)、その点が素直に楽しむのか、残念だなと思うのかは難しいところ。

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