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池澤夏樹「スティル・ライフ」

池澤夏樹「スティル・ライフ」

「きみのためのバラ」が、面白かったのでデビュー作・芥川賞受賞作のこの作品も読んでみた。
 ちまたでは「理系の村上春樹」というらしいが、村上春樹ほどとっつきにくくはない。
 「スティル・ライフ」はきわめてゆったりと話が流れる。3月になると訪れる「雨崎」は架空の地名かと思ったら(電車の路線の描写がいかにも京浜急行だったので)地図で調べたらありました、三浦半島に・・・。火力発電所は房総ではなく横須賀の火力発電所ですね。
 さて、物語のクライマックスはたぶん友人・佐々井から頼まれた仕事のことなんだろうが、それについては大きな描写はなくというか、控えめな印象であり、やはり雨崎の雪の描写と山や宇宙の写真のスライドショーの光景が心に残る。時間がゆっくり流れる静かな筆致は「きみのためのバラ」と同様であるが、それよりもやや描写が粗いところがいかにもデビュー作っぽい。
 同じ本に収録している「ヤー・チャイカ」もなかなか面白い。こちらのほうは恐竜の位置づけがよくわからなかったが、鷹津という娘と二人暮らしの男は「きみのためのバラ」収録の「ヘルシンキ」にも登場する。

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