« June 2010 | Main | August 2010 »

村上龍「半島を出よ」

村上龍「半島を出よ」

 2005年に刊行された、2011年の日本を舞台とする村上龍の小説。
 ぞっとする面白さ。

 執筆当時、近未来としていた2011年は財政破綻、国債暴落と外交失敗による日米関係の悪化、さらなる景気後退、失業率上昇という負のスパイラルが慢性化している。現時点では来年2011年がこの小説にかかれたような状態にはならないだろうが、現政権の無為無策のままだと2015年にはこうなってしまうのではないか、と危惧される。そのあたりの描き方がとても「ぞっとする」。そして上陸された反乱軍への対応のいかにも場当たりかつ保身的な対応にやっぱり「ぞっとする」。

 表題の「半島」とはもちろん朝鮮半島のことであり、「出よ」とは共和国軍の一部が反乱軍の名目で半島を出て福岡に上陸するというもの。
 わずかな兵力で福岡ドームの3万人を人質に取られた政府は、「2時間だけレーダー警戒を解け」の要求に屈し、低空飛行で侵入する500名の部隊を福岡に上陸させてしまい、日本人と変わらぬ容姿を持つコマンドが東京に来るという恐怖心から福岡を封鎖し、切り離す。
 作品の冒頭では不幸な過去と独自の趣味を持つ20名ほどの少年たちが描かれ、彼らがこの物語で核心となる動きをすることは予想できるが、500名の武装兵力にいかに立ち向かうかは最後まで明かされない。

 封鎖された福岡の人々の日本政府への反感、占領軍である反乱軍への擦り寄り、親近感の発生。反乱軍の名目のため悠然と構える北朝鮮本国、米軍との境界を38度線ではなく福岡に南下できるメリットを享受しようとする中国、韓国。純然たる国内問題として派兵を行わない米軍、そして福岡を人質に取られ何もできない日本政府。
 そういう四面楚歌の中で異常な過去と趣味を持つ彼らが登場してくる。

 あとがきで「北朝鮮兵士の心を書きたいと思ったが、まだ書けていない」という作者であるが、巻末に堂々と掲げられた400冊あまりの参考図書のうち半数以上が半島にかかわるもの。どの程度「参考」にしたかは不明ながら、上下2冊の長編を感じさせない。

| | TrackBack (0)

調布花火大会 2010/7/24


より大きな地図で 調布花火大会 2010/7/24 を表示

 調布の花火大会見物に、稲城大橋まで行ってきました。
 橋の上は風も涼しく、花火見物には最適でしたが、少し距離があるのとなにせすごい人で
落ち着けないので少しだけ見物して帰りました。

 詳細&写真

| | TrackBack (0)

島田晴雄「男日本の壊れる音がする 今なら、まだ間に合う!」

島田晴雄「男日本の壊れる音がする 今なら、まだ間に合う!」
 2010年4月末、まだ鳩山政権の頃に書かれた「民主党の政策がいかにダメか」についてきちんと書いた本。
 首相は交代したが、新首相は何もしていないので基本的には同じ。

 民主党政策は全くダメだろうというのは素人でもわかるが、経緯や裏づけを素人でもわかるように丁寧に説明しているので分かりやすい。この種の本としては「池上彰」級にわかりやすい。
 項目についてはリンク先の目次を参考にしてもらうとして、やはりバラマキ、郵政、普天間はひとつとして正解はない。唯一の正解は住宅取得資金の贈与非課税を500万円から1500万円にアップしたこと、くらい。鳩山さんの海兵隊発言ではないが、とにかく不勉強かつ安易。
 鳩山、菅と2代続く東大、東工大の応用物理・理系首相は「理系ってやっぱり専門バカか」と世の中に誤解を与えかねない不勉強首相だろう。

 島田教授は普天間移転を決めた橋本政権の頃から沖縄との懇談会を主催しており、沖縄事情には詳しい。奇跡的に基地受け入れを表明した辺野古案を覆されたという思いもあろう。
 民主の政策を罵倒(というに等しい。著作物なのでそれなりの表現に抑えているが)一方、55年体制以降、特に90年代以降の自民党の不作為についても述べている。
 また、少なくとも現政権よりはまともな打開策のロードマップは提言している。特に年金。

 唯一腑に落ちないのは第一優先課題が安全保障なのかどうか。日米関係ということならわかる、また安保の傘のおかげでGDP比1%のコストしか防衛費がかかっていないことはわかる。しかし現在の複雑な外交情勢の中で北のミサイル防御を前提としたところまで意識する必要があるのかどうか。それよりも村上龍「半島を出よ」に描かれたような地方拠点占拠に対する対策など現実的な問題に対処すべきでは。核の傘を強調すると「全面戦争を起こすほど北はバカではない」という議論に押し込まれる。説明が難しいところだ。

| | TrackBack (0)

世界でもっとも美しい10の物理方程式

世界でもっとも美しい10の物理方程式

いやあ、「もしドラ」とは違って読むのに時間がかかった。
 ピタゴラスの定理、ニュートンの運動の第二法則、ニュートンの万有引力の法則、オイラーの等式、熱力学第二法則、マクスウェルの方程式、アインシュタインの方程式、アインシュタインの一般相対性理論の方程式、シュレーディンガーの方程式、ハイゼンベルクの不確定性原理。この10の物理方程式をめぐる話である。

 文科系人間は下記のレベルで読みました。

 概ね、この順番に難しくなる。
 ピタゴラスの定理はピタゴラスが発見したわけではなく、古代中国やインドなど古代文明がそれなりに育った地域では経験的に知られていた。このあたりの話はなかなか楽しい読み物レベル。で、いきなりニュートンの運動第2法則、万有引力の法則まで飛ぶ。これはもちろん高校物理で習った範囲だが、これを発見するまでの話も大雑把には知っていたのでまあそれなりに読める。興味深かったのが10の法則のうち2つがニュートンのことと、このふたつの間の物理学的な距離、あるいは意義の違い。

 オイラーの等式は映画にもなった「博士の愛した数式」で素人にもちょっと有名。方程式そのものよりも「エントロピー」という用語が先行した感がある熱力学第2法則。
 マクスウェルの方程式も漠然と聞いたことはあるが、これは式のものから難しかった。
 アインシュタインの方程式はいわゆる特殊相対性理論であり、世の中で最も有名な方程式といわれるE=mc2であり「方程式のセレブ」と名づけられている。これと一般相対性理論はやはりその経緯が興味深い。「エーテル」なんて出てくるのだ。エーテルとは宇宙空間(だけじゃないけど)などで光を伝播するための媒体として考えられたもの。要するに宇宙空間にはこういうものがあり、真空ではないと・・・。
 特殊相対性理論の発表は1905年、日露戦争の頃、やっと20世紀が板についたころの話なのだ。そしてこれに続くシュレディンガーもハイゼルベルグも1920年代の話なのだ。
 E=mc2によって質量とはエネルギーそのものであり、放射性物質を崩壊させエネルギーに転換させれば未曾有の破壊力を持った兵器ができる、すなわち核兵器になると作られ、広島・長崎に落とされたが1945年。その時間感覚があるのでもう少し第2次大戦に近い時代のように感じていた。

 不確定性原理は大雑把にいえば「あちらを立てると、こちらが立たず」な法則くらいの認識はあった。量子の世界では、位置や運動量を同時に正確に計ることはことができない。なぜなら、測定という行為自体が電子の状態に影響を与えてしまうからだ。この結果は、どんなに測定方法や計測機器などを精密にしても同じになる。という感じのもので、それ自体は「微小な世界だとそうかもね」くらいの感想しかない。が、これは10の法則に選ばれているのだからきっと重要なんだろうけど、議論が難しくてよくわかりませんでした。

| | TrackBack (0)

無人の多摩サイ 2010/7/20


より大きな地図で 無人の多摩サイ 2010/7/20 を表示

 真夏の午後、平日の多摩サイを初めて走ってみた。
 川面をゆく風、野球少年やキャンプファミリーは皆無、ローディの姿はほとんど見ない。
たまに散歩する人とママチャリとクロスを見かける程度で、本来の多摩サイの姿が
あった。

 詳細&写真

| | TrackBack (0)

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

岩崎夏海 もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
 話題の、というには遅いが・・・「もしドラ」を読んだ。
しかもiPhone(ぼくのではないが)で。片手で読めるのが楽。とくにしおりを設定しないまま終了しても、次回起動時には最後に読んだページから始まるので本よりは楽。ただし、1画面に表示される文章が紙よりは当然少ないのでページめくりが頻繁に発生する。それと全体のどの程度読んだかの把握が感覚的にはできないので目次と比べてみるしかない。(全体の進捗は画面にバーを出せば表示できるって・・・) 文字の大きさは自由に設定できる。下は左から表紙、目次、文章(あとがきの最後)


 さて、物語の高校は多摩丘陵にかかるあたりにある程久保高校。程久保とは日野市の住所で多摩モノレールに同名の駅がある。程久保町内で有名なのは多摩動物公園と2009年9月に閉園した多摩テック。作者の岩崎夏海(男)は日野市出身。もっとも富士山も見える高校という設定だが程久保町には高校はないし、富士山が見えるとなると程久保の西の南平高校あたりだろうか。
 それはさておき、中身だが、表紙にふさわしい文体と内容で物語はどんどん進む。
 ドラッカー「マネジメント」と高校野球との結びつけはややこじつけがましい部分もあるが、いやらしくはなく、「マネジメント」の本文を多数引用しているので、そこで立ち止まって思考することができる。物語の内容とは別に「ああ、これはアイツのことだな」という感じで自身の環境に置き換えて読むことができる。

 どんなかたちであれ「マネジメント」に触れるきっかけとしては良い本だと思う。「マネジメント」は読んだことはないが実際に読んでみると「ああ、この部分はもしドラで使われた部分だな」と思い出すだろう。
 しかし、部分的にせよ読んだ「マネジメント」を実践するのは実社会ではとても困難で、この本のように都合良いキャラクターは登場しないだろう。

| | TrackBack (0)

夏富士・消え富士・小山内裏公園 2010/7/17


より大きな地図で 夏富士・消え富士・小山内裏公園 2010/7/17 を表示

 小山内裏公園を走っていたら、丹沢の奥に夏富士が見えました。
 このあたりはなかなか富士山が見えない地域なのでちょっと得した気分。
 陽射しは強いものの風があってなかなか気持ちよかった。

 詳細&写真

| | TrackBack (0)

尾根幹線 2010/7/10


より大きな地図で 尾根幹線 2010/7/10 を表示

 バルブキャップを購入しに尾根幹線経由で自転車屋まで
 ショップ備え付けの「2010ツールドフランス公式プログラム」をパラパラめくってみる。今年度のチームやコースの紹介がかなり細かく、なかなかの厚さで買ってもいいかなと思ったりする。 
2010ツール・ド・フランス公式プログラム

 詳細

| | TrackBack (0)

小山内裏公園 2010/7/4


より大きな地図で 小山内裏公園 2010/7/4 を表示

 久しぶりに自転車に乗った。
 午後、日が翳ってから出かけたが、それでも真夏の暑さ。
 走っていると涼しいが、停まると暑いので帰りの野猿街道のコンビニまで停止せず。

 尾根幹線はアクアブルーの駐車場待ちの車で渋滞していた。

 詳細

| | TrackBack (0)

村上龍「案外、買い物好き」

村上龍「案外、買い物好き」
 2003年から2007年にかけての買い物関連エッセイ。場所はイタリアが中心で、ドイツ、中米、中国、韓国あたりが多い。
 最近は村上龍の90年前後の対談集を良く読んでいるので、時代の差が感じられて面白い。
 前半はイタリアでは男もののシャツはなぜブルーなのかをテーマに買い物にはまった経緯が綴られている。まだサッカーの中田がイタリアに居たころ、個人的に親しい村上は観戦のため年に2,3度イタリアに足を運び、そこでイタリアのデザインにはまる。その他もろもろだが、もちろんブランド志向ではない。
 経済的成功をかんたんに誇示できるブランド志向を好ましく思っていないが、「日本人なのにSEIKOでなくてなぜブルガリの時計なの」と聞かれることを懸念していたりもするし、ブランドではないけど、いいものを大人買いをしてしまう。「面倒くさいから」と全く買い物をしない古い友人をうらやましく思ったりする嫌味のないエッセイ集である。

 90年代の対談集といえば最近読んだ「世界をボクらの遊び場に」は対談メンバーがなかなか凄かった。一部が「新潮」ほとんどが懐かしき「Hot-DogPress」の対談だが、桑田佳祐、岡本綾子、中島悟、松岡修造から始まってジョージ・ルーカス、ジョルジオ・アルマーニ、ゴダールと来る。

| | TrackBack (0)

« June 2010 | Main | August 2010 »