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村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス」

ダンス・ダンス・ダンス

村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス」を久しぶりに読んだ。
 「1Q84」が発売前から空前の売上げとなり、最短記録で100万部を突破、「なぜ村上作品は売れるか」などというサイトやブログの記事が多数あり、村上春樹そのものががブランドとなったなどいろいろ書かれている。まあ、それはいい。

 初期3部作の続編にあたる。3部作を読み、「ノルウェイの森」を読み、されにこの作品を読む。順番に読んでいくとストーリーテラーとして村上春樹のある意味わかりやすさとともに正確な言葉の選択がだんだんと進化しているように思える。
 続編は通常は本編よりも劣るものだが、まったくそういうところがなく、本編を読んでいなくても理解できることはもちろんだが、ストーリーも文章も登場人物も面白い。石田衣良あたりの軽いのを読んだあとだけに読み始めてすぐに「全然違う」と感じた。それはどっちがいいとか悪いとかの問題ではなく大衆文学と純文学の違いでもあり、ジャズとクラシックの違いのようなものだ(なんか「僕」のような言い方になってしまっている・・・)。

 「ダンス・ダンス・ダンス」は1988年の刊行。書かれている時代はバブル期である。「1Q84」と同時代かあるいは少しあとくらいだろう。

 「僕」の中学時代の同級生でハンサムな俳優の五反田君が「僕」に向かって言った言葉が時代を象徴している。
「何度も何度も反復して情報を与えるんだ。そうすりゃみんな頭から信じ込んでしまう。住むんなら港区、車はBMW、時計はロレックスってね。ある種の人間はそういうものを手に入れることで差異化が達成されると思っているんだ。みんなとは違うと思うのさ。そうすることによって結局みんなと同じになってることに気がつかないんだ。想像力というものが不足しているだ。」(太字は原文では傍点)

 今でもこういう奴いるけど、というか今のように不況だと想像力不足に昔よりもさらに気がつきにくい。

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