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「富士山を汚すのは誰か―清掃登山と環境問題」

富士山を汚すのは誰か―清掃登山と環境問題
 野口健「富士山を汚すのは誰か―清掃登山と環境問題」は、とても真摯な本である。
 
 この本を読んだきっかけはネットで「野口健はこの本では富士山の世界遺産登録について積極的ではない」というような書き込みを見たためだ。
 世界遺産そのものはいいものだろうが、それに踊らされて登録運動を行う日本人の習性が好きではない。日本人にはこういう傾向が多い。百名山然りと、この本で野口も書いている。

 エベレストで日本隊のごみや富士山の汚さを知らされ、気持ちが定まらぬまま「エベレスト清掃登山をする」と宣言。前半はこのエベレスト清掃登山の話である。通常の登山よりも高所に長時間滞在したことが原因で自身も体調不調となるほか、大切な同胞であるシェルパ3名を亡くしてしまうが、シェルパ仲間に励まされ当初予定どおり4年間の清掃登山を完了し、その活動が知られるにつれ他国の登山隊もゴミを出さない方法になったきた。
 一方で、富士山といえば厳冬期しか知らなかった野口にとって夏の富士山の汚さは衝撃的だった。
 富士山のゴミは、1:夏期に集中する大量の登山者のゴミ(屎尿を含む)、2:青木ヶ原樹海を代表とする不法投棄、3:五合目付近を中心とする観光バス、交通渋滞、排気ガスの問題に分けられる。これらの解決に野口は乗り出して行くが、富士山を巡っては山梨県と静岡県が仲が悪く、また市町村間も仲が悪い。これらについてどのようにあたったのかの具体的な記述はあまりないが、きっかけとして、石原都知事や小池百合子環境大臣(当時)がすぐに動いてくれたことを感謝の念をもって記載している。都知事や環境相に直接訴える機会を得られるだけの実績を彼が作ってきたからこそだろう。

 野口は最近TVのバラエティ番組などにも出ているが、正直あんまりぱっとしない。が、最初のTVコマーシャルであるネスカフェで清掃登山を訴えてからスポンサーを得られるようになったことから、あらゆる機会でメディアへの露出によりメッセージを伝えようとしている。

 尾瀬のように大部分が一つの企業が所有しているとか白山のように信仰に守られた山でもないから、汚さないためには、ヨーロッパのように登山電車を整備して自動車を閉め出すか、入山規制をするしかないだろうなというのが野口の考え。

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