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村上春樹「1Q84」【ネタバレあり】

村上春樹「1Q84」
村上春樹「1Q84」

【ネタバレあり】
 村上春樹「1Q84」は、現実の1984年とどこか違う世界である。それに気がついたヒロイン・青豆は「1Q84」と呼ぶ(QはQuestion 等の意味)。
 青豆は最初に1Q84年に踏み入れたに違いない渋滞の首都高3号線の三軒茶屋付近に向かい1984年へ戻るための入り口がないことを確認すると自らのルールに従った行動をとり青豆の物語はそこで終わる。
 しかし物語はその後の天吾の最後のエピソードで空気さなぎの中にいる10歳の青豆を天吾が見つけて希望を持つシーンで本当の最後が終わる。
 今までの村上春樹なら青豆のエピソードで終わりそうだが、最後に(ふかえりが予言したとおり)空気さなぎを登場させるところが違うなと感じた。甘いとも言えるし、逃げているとも言える。
 リーダーが青豆に語ったことが真実であれば1Q84の世界では青豆と天吾は同時に生きられないのだから、実は天吾の希望は全く望みのない希望であるとも言える。しかしリーダーがいなくなり代役が見つかるまでの当面はリトル・ピープルは活動できないのだからたとえそれがマザではなくドウタだとしても青豆は生きることができるかもしれない。

 そういういくつもの展開を考えられるのが今回はとても面白い。

 それと宗教の話をすればリーダーであるふかえりの父はその親友でありふかえりの保護者でもあるセンセイに言わせれば絶対に宗教を認めない唯物論者であったはず。しかしリーダーは特殊な能力を娘のふかえりによって授かったためにやむを得ず宗教のリーダーになっていく。善良で信望があり穏健的な運動家もある啓示により狂信的な宗教の中心に居る。彼の意思とは無関係に。
 新興宗教の信者一家に育った青豆は休日のたびに家族に引き回される布教活動が嫌いだったし、そのために友達も出来なかった。それで家も出た。しかし彼女の強靱な精神とそれをもとに鍛錬した肉体は宗教ゆえの禁欲的な生活のおかげであるのも否定できないと彼女は思う。そして何よりも自分のルール遵守を重んじる彼女は彼女らしいやり方で納得して最後を迎える。
 ただし、リーダーも青豆も本人の精神世界はどうあれば外から見れば破滅である。それでもありていに言えばそんなことは本人がよければ余計なお世話なのかどうか。

ネタバレのインタビュー記事 

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