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遠山美都男「壬申の乱―天皇誕生の神話と史実 」

壬申の乱―天皇誕生の神話と史実


 「日本書記の読み方」に続き、「疋田智のロードバイクで歴史旅」に触発されて遠山美都男「壬申の乱―天皇誕生の神話と史実 」を読んだ。
 壬申の乱なんて「672年、天智天皇の後継者をめぐり弟の大海人皇子と子の大友皇子が争い弟が勝利し、飛鳥浄御原宮で天武天皇として即位、律令体制が強化された」くらいの記憶しかない。大海人皇子と大友皇子でどちらが天武天皇でどちらが弟だかを区別するのに苦労した・・。まあ、その程度である。
 興味をもった直接的な原因は法隆寺再建をしたのがこの時代と言われていることあたりだが、本書については刊行された1996年からいつか読まねばと漠然と思っていた。
 
 で、まあ読んでみたのだが、記述は時系列に進むが、日本書記の現代語訳、その口語訳から登場人物の出自(そもそも誰だかわからない人が多い)、歴史学的な考察という順番にひとつのシーンが進むのでなかなか冗長ではある。
 しかし、当時は白村江の戦いで日本百済連合軍が大敗して多くの百済人が日本に移住していた時期、大海人皇子は自分を漢の劉邦になぞらえ全軍を赤で統一したという時代でもあり、兵隊も武器、戦法も中国式。まるでレッドクリフのミニチュア版を見ているようで、じっくり読むとなかなか面白い。
 主な戦場の一つが不破の関でこれすなわち関ヶ原そのもの。関ヶ原の戦いや大坂(土ヘンです)夏の陣になぞらえた挿話など読者を楽しませることも意識している。
 その発端(大海人が天智天皇を裏切ったのかその逆かなど)や戦略の成功、失敗など重要な事項ひとつひとつがまだまだ定説がない争いでもあるし、天皇位の争いであるから戦前は高等学校にならないと学習しないという微妙な事件でもあるが、一定の説のもとに映画化すると、けっこう面白い日本版レッドクリフになりそうだと言ったら不謹慎だろうか。

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