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森博嗣「四季」

 森博嗣 四季シリーズを読んだ。四季とは四季・奈津子ではなく、S&Mシリーズで暗躍する天才少女・真賀田四季である。S&Mシリーズの当然後から書かれたものであるが、途中で登場人物の一部がVシリーズに出てくる人々であることがわかる。S&Mシリーズは「理系ミステリー」とされ従来の(と言っても他のミステリーは読んだことがない)のミステリーとは一線を画したトリックや解決手法を披露しているが、その大元になるのがやはりこの天才・四季だろう。

四季 春春は四季5歳から始まる。この巻では四季が持つ多重人格に焦点をあてているが、最初それに気がつかず、読みにくい印象があった。S&Mシリーズで勃発するような複雑な事件ではないが、密室殺人事件を解決してしまう思考過程で、天才少女の恐ろしさを存分に描いている。
四季 夏夏は四季13歳。「すべてがFになる」にも描かれている両親の事件への経過が細かく描かれとともに、今までまったく描かれていないS&Mシリーズの主人公、犀川助教授の家系の秘密らしきものや、幼い西野園萌絵も登場してきて、次回作へうまく引っ張っている。犀川助教授の家系は実はVシリーズの主人公たちであることがこの巻で判明する。
四季 秋秋は時代はいっぺんに飛び、S&Mシリーズの終了後、すなわち長崎の事件より後になる。再び「すべてがFになる」の事件の背景を考える犀川、四季に秘書として遣え辞職した女性の行方とともに四季が「すべてがFになる」での真相の一部を語る。ここまで読むとこれでシリーズ完結しても良いようにも思えるが、まだ終わらない。
四季 冬冬は秋の続きなのだが、雰囲気はまた少し変わる。このシリーズは「理系ミステリ」であるS&Mシリーズに登場してしまった四季という天才を描くためのSFに限りなく近づいてくる。

 このシリーズを読む前に、「女王の百年密室」という22世紀末が舞台の作品を読んだ。この作品も少しばかり密室殺人が出てくるのだが、進化した未来でのミステリは設定がずるいなあと思ったが、この作品に登場するウォーカロンと呼ぶロボットが登場したり、冷凍睡眠により四季が若さを保っているようだ。最後はやや哲学的な展開で、シーンはS&Mシリーズ最終巻「有限と微小のパン」の冒頭の儀同世津子の自宅のシーンで終わる。

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