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中村清太郎「雲ノ平と黒部五郎」

雲ノ平と黒部五郎

 深田久弥「日本百名山」の黒部五郎岳の項には「もし、それぞれの人に、こころの山というものがあるとしたら、中村清太郎さんのそれは黒部五郎岳に違いない。画伯は中学生の頃、すでに白馬の頂上から笠ヶ岳に似たこの山を遠望して、非常に惹かれたという。」という記述があるが、この出典が分からなかった。中学のときに白馬岳から眺めたというくだりである。
 氏が最初に黒部五郎に登った記録である「越中アルプス縦断記」では「自分はこの山が実に好きで耐まらないのである」という記述があるが、白馬から見たという記述はない。

 氏は画家なのでもともと著作物は少なく「山岳礼拝」にほとんどの著作が収録されているが、それにはそのような記述はない(と思う)。もっとも深田久弥は双六小屋で毎日雲ノ平まで行って黒部五郎を描いている中村清太郎に会っているので(「日本百名山」)、その時に氏から直接聞いたのかもしれない。

 そんな会話もあったのかもしれないが、それは別として、出典らしきものが見つかった。「岳人」昭和32年8月号に収録された「雲ノ平と黒部五郎」という中村清太郎の絵と文である。

 残念ながら当時の出版物ということで絵もモノクロであるが、その下に短い文章が寄せられていた。その中で「私がこの山に惹かれた初めは、中学生の頃、白馬から遠望した時で、」とある。さらに「山名も私が選んだもの。」という記述があった。
 これは上記の初登頂のときに山頂でこの山が「中ノ俣岳」という呼称があることを知るが、以前に嘉門次に聞いた「黒部五郎岳」がふさわしいと思い、「越中アルプス縦断記」をこの名前を登場させてからこの名称が広まったことによる。

 実は、これが書かれているかもしれないとこの本(「岳人」昭和32年12月号)をヤフオクで買ってみたのだが、あたりだったので嬉しい・・・。

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