« 森博嗣「スカイ・イクリプス」 | Main | 森博嗣「幻惑の死と使途」「夏のレプリカ」 »

リニアモーターカーの2冊「ここまで来た!超電導リニアモーターカー」「超・新幹線が日本を変える」

ここまで来た!超電導リニアモーターカー―もう夢ではない。時速500キロの超世界超・新幹線が日本を変える


リニアモーターカー関連の本を2冊読んでみた。

「ここまで来た!超電導リニアモーターカー」は鉄道総合技術研究所が2002年に刊行したものを06年に改定した本である。
 そういえば若かりし頃、近隣にあった中央鉄道学園に仕事で何回か出入りしたことがある。施設内に0系新幹線の車両が放置?され、なけっこう汚い施設だった記憶がある。鉄道総合技術研究所と一体なのかと思っていたが、鉄道学園の方は分割民営化の時に廃止され、土地も売却されていた。ちなみに鉄道総合技術研究所の国立研究所は、住所は国分寺市光町、旧鉄道学園は国分寺市泉町だった。

 それはさておき、ぼくは当時、リニアについてはかなり懐疑的だった。
 開発着手は東海道新幹線完成直後であり、すでに30年以上を経過していたが、当時でもまだクエンチ現象の解決がなされておらず実用化のめどはまったく立っていなかった。クエンチとは超電導状態が突然失われることである。超電導で日常生活?で利用されているMRIなどでよく発生する(こちらを参照)。
 時速500キロで地上から数センチを浮上走行しているリニアモーターカーでこの事象が発生すると、リニアは墜落する。墜落という表現を使ったが、500キロというのは飛行機の着陸速度より100キロ以上高速である。

 この本を読んだ理由は「2025年開通とか言っているけど、あのクエンチはどうなったの?」ということによる。

 著者がリニア開発元なのでいささか手前味噌の記述も多いが、まあ、技術面、実績ともほぼ問題ないレベルにきているということがわかった。ただ電気関係の素子に今頃IGBTを採用して新技術とか言っているのはちょっと遅すぎるのではないかという気がした。というのもコンピュータセンター用無停止電源(CVCF)の素子は90年代からIGBTを使っていたからである。まあ鉄道で使えるほど小型化されたのがもっと後なのかもしれないが。

 では、3つあるコース案、実現の可能性、経済効果とかはどうなのか、というとこの人のお出ましになる。
 川島令三の本は数字が多くて、字がいっぱいでかつ網羅的でとても読みにくいのが第一印象だが、この「超・新幹線が日本を変える」もその例に漏れない。
 最初に2025年開通とJR東海が打ち上げたリニアモーターカーの話が少しあるが、それからあとは、新幹線の定義から始まり運用中の全新幹線の解説、駅の構造、在来線の問題を語り、最後にまたリニアモーターカーに戻る。
 刊行は2008年6月なので現時点での最新事情というところであろう。
 リニアについての記述はさすがに筆者でもあまりないと見えて、現在の新幹線の記述からは見劣りがするが、冒頭の現行新幹線の問題点などを読むと、長野県知事がJR東海が主張する南アルプス直行ルートを云々しているのが、かなりナンセンスであることがよくわかる。この本の帯に「東京・新大阪 1時間5分」と書いてあるが、それは四捨五入して大雑把に1時間とはぜんぜん違う意味である。

 さすがに鉄道研究の第一人者の本だけあり、なかなか興味深い本であるが、正直のところ冒頭の印象どおり圧倒されてつまみ読みだけした。

|

« 森博嗣「スカイ・イクリプス」 | Main | 森博嗣「幻惑の死と使途」「夏のレプリカ」 »

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/2457/43264228

Listed below are links to weblogs that reference リニアモーターカーの2冊「ここまで来た!超電導リニアモーターカー」「超・新幹線が日本を変える」:

« 森博嗣「スカイ・イクリプス」 | Main | 森博嗣「幻惑の死と使途」「夏のレプリカ」 »