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村上春樹「象の消滅」

村上春樹にご用心「象の消滅」

 内田樹村上春樹にご用心を読んだら、なんとなく昔読んだ村上春樹の小説を読みたくなり、「象の消滅」を読んだ。

 「村上春樹にご用心」は内田樹氏の評論集で「世界で支持を受ける村上春樹をなぜ日本の文壇や評論家は評価できないのか」その技量のなさを批評する、ような感じの本であり、いくつかは面白かったが、心酔しきっているような表現もあり、いまいちの箇所も多かったが、「村上文学に「父」が出てこない」という指摘には、なるほど。権威や旧世代の象徴である「父」の圧力や威厳、それを乗り越えようというような話は村上文学にはたしかに出てこない。

 そんな村上春樹のアメリカで出版された短編集の日本語版が「象の消滅」であり、いくつかの作品は日本語版収録にあたり手を入れている。
 ほとんどの作品は読んでいるはずなのだが、ストーリーの記憶があるものが少なく、情けなかったが、その分、ほとんどを初めて読んだ気になれた。

 「午後の最後の芝生」の大女のおばさんが「僕」にながらく雨戸を閉めたままだった娘の部屋や服を見せて娘を想像させるシーンが哀しくていい。
 「沈黙」はできるけど嫌な奴とそんな奴の中身を見抜けず付和雷同する人々への箴言。身近にもこんなケースもあるし、政治の世界にもありそうで、村上らしからぬ実用的なストーリー・・・。
 「象の消滅」。村上春樹の小説は長編でも短編でもふつうの生活のなかでとても奇異な出来事がごく普通に発生し、その理由も原因も語られない。まあ、このあたりが現代の国内評論家が支持しない理由だろうが、彼の作品が世界で読まれる普遍性がそんなところにあるのではないということを示す作品のひとつがこの短編だろう。 奇妙な事件なのに、読み終えると暖かい気持ちになれる。

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