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重村智計「韓国の品格」

韓国の品格
 韓国・北朝鮮問題でTVによく登場する元毎日新聞記者、重村さんが近刊「金正日の正体」の中で金正日「影武者」説を取り上げたというニュースをどこかで見た。TVでみる彼の発言は風貌はなんとなく信頼を置けるように思えるので少し意外であった。重村さんが言うからにはそれなりの根拠があるのかもしれない。
 ただ、正直のところ、海外旅行嫌いで仕事でやむを得ずソウルに一度行っただけのぼくには、近くて遠いこの国のことは何も知らないし、興味もない。
 ということで題名に魅かれて重村智計「韓国の品格」を読んで、予備知識を仕入れてみようと思った。

 脱稿が2008年2月、イ・ミョンバク大統領の政権が始まった直後であり、重村さんらしからぬ新大統領礼賛に妙は違和感を覚えながらも、まったく知らない日本と韓国の現代史に引き込まれた。
 著者がこのとき予測した事態とはいくつかの重要なポイントがすでにずれてきており、その点では残念であるが、要するにこの本は日本のマスコミ、政治家、そして日本人全体への警告書として重要な意味を持つ。

 韓国の教科書には日本の歴史は太平洋戦争で終わっておりその後の民主化、財閥解体などの現代史には触れていない。一方で日本の教科書は1910年の日韓併合から終戦までの植民地政策が何も触れていない。このあたりが韓国の歴史問題の認識の前提であり、日本人の韓国に対する漠然とした評価の源泉なのであろう。

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森博嗣「すべてがFになる」

すべてがFになる―THE PERFECT INSIDER

 簡単に人が死んだり、殺されたりするサスペンスやミステリー好きではないのだが、「カクレカラクリ」がなかなか面白かったので森博嗣のデビュー作である「すべてがFになる」を読んでみた。
 舞台が世間とか完全に隔離された孤島のコンピュータ関係の研究所ということで、ところどころ基本的なコンピュータ用語が出てくる。さすがに知っている用語ばかりだが、カタカナで「インティジャ」と書かれるとintegerに頭の中で変換するのにちょっと時間がかかったりする。縦書きではなおさら。題名の「すべてがFになる」も横書きで書くと解けたかもしれないなあ。
 書かれたのが1995年であり、UNIX中心のシステム構成やネットカフェはまだなかったりなど時代を感じる。

 文庫本で500ページを超える長編だが、テンポが良く、かつ文章に歯切れがいい。謎解き部分はやや急ぎすぎの感もあるが、登場人物の性格の書き分けもはっきりしていて面白い。

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森博嗣「カクレカラクリAn Automaton in Long Sleep」

カクレカラクリAn Automaton in Long Sleep 森博嗣「カクレカラクリAn Automaton in Long Sleep」を読んだ。
 先日読んだ「ゾラ・一撃・さようなら」はいまいちだったが、こちらはなかなか楽しい読み物でした。
 「廃墟マニアの郡司朋成と栗城洋輔は、同じ大学に通う真知花梨に招かれて鈴鳴村にやって来た。天才絡繰り師によって、120年後に作動するように仕掛けられた謎の絡繰りとは?」とAmazonの解説にあるが、工学部の3人と花梨の妹の4人が、磯貝先生の助けをかりながら、どうやったら120年の年月をカウントするのか、動力は何か、そもそもそれはどこにあるのか、という謎を解いていく。
 主人公の男子学生が二人組なのはこの謎解きを掛け合いで行うことで文科系の読者の理解を助けるためだろう。考えながら読むほどではないが、なるほどそうだよなあ、あ、やっぱりその方法はだめかと思いながら読み進めることができてテンポがいい。
 著者が工学部の先生だけあってこういう畑のほうが中途半端なミステリーよりは向いているのかも。

 青春物語ではあるが、お祭り騒ぎが終わったあとの静寂さも良い。

 妹、玲奈がよくコカコーラを飲んでいると思ったら、なんだそういう企画なのか、と一番最後のページで分かった。それもいいではないか。

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森博嗣「ゾラ・一撃・さようなら」

ゾラ・一撃・さようなら 森博嗣「ゾラ・一撃・さようなら」を読んだ。
 AMAZONのレビューに「まあまあ楽しめるが、森博嗣の真髄からはちょっと程遠い感じがします」とあったが、真髄を理解していないぼくにもそう思えた。
 読んでいる間は面白い展開になりそうな気がして、のめりこめるのだが。読み終わって振り返ると、ではあの設定はなんの意味があったの?とか、ではあの設定には無理があったんでは?と、疑問符がつくことがかなり多い。
 具体的な話を書くとネタバレになるので、やや曖昧に書くと、標的やその友人の地位、女性の美貌と揺れ動く気持ちあたりかな。すなわちこれらの設定がかなり極端、一流になっているのに、どうもストーリー展開上あまり意味がないように思える、ということ。

 ただ、表題は森博嗣らしい・・・。

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関戸橋フリーマーケット

関戸橋フリーマーケット
 4月と10月の第3土曜日に関戸橋で開催される「関戸橋フリーマーケット」を見てきました。
 多摩サイクリングロードの脇で自然発生したフリーマーケットで自転車関連のフリマである。このイベントのことを今週の頭に知ったので(mixiにはこのフリマのコミュもあった、Wikiぺディアにも出ている)、買うものはないだろうと思いつつ出かけた。
 ネットの情報では埼玉や神奈川あたりから来るのは当然で(自転車で来る人も多いようだ)、関東圏外からはるばる来る人もいるようだ。
 近隣の無料駐車場の取り合いもあるせいか、早いお店は早朝5時くらいから準備を始め、7時にはかなりのお店が開くという。

 到着したのは8:30くらいであったが、すでに盛況。挨拶を交わしている出品者も多く、常連多しという印象。 自転車ショップの在庫処分の新品格安パーツから個人ユーザが数点出品しているものまで、バラエティに富んでいる。自転車パーツと一緒になぜかAV(アダルトの方)も並べているショップもあった・・・。
 フレームやタイヤ、ホイールといった大物パーツもあるが圧倒的に多いのはサドル、スプロケット、ステム、ブレーキ、ペダル等、入れ替えが激しいもの。ランス(たぶん)のサイン入りポスターなんていうのもあった。

 ハーフクリップか中古でもいいので適当な靴でもあればいいなと思ったが残念ながらなかった。

 近所の車から台車で商品を搬入しているのはともかく、ミニベロの後ろに小型のリアカーのようなものをつけている出品者もあり、訪問する人、出品する人もバラエティに富んでいて見ているだけで面白かった。
写真

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「自転車をめぐる冒険」

自転車をめぐる冒険
 自転車ツーキニスト疋田智の文とドロンジョーヌ恩田のツッコミ、挿絵による読み物「自転車をめぐる冒険」を読んだ。
 自転車の蘊蓄やらなんかに役立つかと言われれば、何の訳にも経たない。特に冒頭の書き下ろし4編を読んだときは読むのをやめようかと思った。
 が、徐々に、適度な下ネタ満載のドロンジョーヌの挿絵とツッコミが面白くなって読み終えた。

 ドロンジョーヌの下ネタ(も、あり)のイラスト。ここも面白い。

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ティファニーで朝食を

ティファニーで朝食をティファニーで朝食を

 またも村上春樹訳の本を読んだ。トルーマン・カポーティ「ティファニーで朝食を」である。
 映画はもちろん見たことがある。「ローマの休日」とは全く雰囲気の違うヘプバーンが破天荒なヒロインを演じていた。見る前には「なんでティファニーで朝食なんだ」と思ったが、オープニングで納得した。ヘプバーンは映画によっていろいろな役柄を演じるので、ラブコメディのようなこの映画では違和感はなかったが、原作(というかこの村上訳)を読むうちに、ああ、映画とは別物の(映画が別物)作品だなと感じた。ヒロインのホリーは最初のころはどうしてもヘプバーンの顔が思い浮かんだが、読み進むにつれてあまり思い浮かばなくなった。あえて言えばマリリン・モンローのようなもっと社会の枠から外れた女性の印象である。

 原作と映画、どちらが面白いかと言われれば、別の作品なので比べられないけれども、やはり原作が圧倒的に面白い。映画はジョージペパード(原作の「僕」)とのラブコメディになっているが、原作ではあくまでも「僕」は語り手であり、とても気になる隣人という立場で、ホリーを取り巻く人々の描写に終止している。エンディングも余韻があって良い。
 村上による後書きで映画化のときにヒロインがオードリー・ヘップバーンになってカポーティが怒ったと書いてあったがさもありなん。マリリン・モンローに断られたという話もネットで見かけた。・・ヘプバーンがヒロインだと原作そのもののヒロインを演じるのはやはり無理で、あのような映画になるのだろうと納得。

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FINISH LINE チェーンクリーナー使用手順

フィニッシュライン(FINISH LINE) チェーンクリーナーキット は、手を汚さずにチェーンの掃除ができるフィニッシュライン(FINISH LINE) チェーンクリーナー とディグリーザ(汚れ落とし)とオイルがセットになったもの。
 チェーンもかなり汚れてきたので、初めて使ってみた。
 日本語取り扱い説明書も同梱されているので、それを見れば迷う点はほとんどない。

本体は上部と下部に分かれる。この間にチェーンの下部を挟む
持ち手はこのようにつく
洗浄液は画像下部のFLUID LEVELまで入れる
チェーンを挟んだあとはこのレバーでふたを留める


 マニュアルには、ギアの位置は前が真ん中、後ろは下から3番目とあるが、ようするに一番ゆったりとした状態であれば良いのだろう。
 洗浄はペダルを20回逆回転させるが、このとき回す速度によるが前後にかなり液が飛ぶ。
 ブラシなどでじかに掃除する場合は、実際に掃除する部分の下に汚れ受けの新聞紙を広げればよいが、このツールの場合は、少なくとも前後輪のギアのあたりまでは必要。ギアに適度の液がついたまま回転するのでギアの範囲に液が飛び散る。

 気がついたのはこのくらいで、あとは問題なく洗浄し、拭き取り、オイルをさした。

 使いやすい製品だと思う。

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村上春樹「象の消滅」

村上春樹にご用心「象の消滅」

 内田樹村上春樹にご用心を読んだら、なんとなく昔読んだ村上春樹の小説を読みたくなり、「象の消滅」を読んだ。

 「村上春樹にご用心」は内田樹氏の評論集で「世界で支持を受ける村上春樹をなぜ日本の文壇や評論家は評価できないのか」その技量のなさを批評する、ような感じの本であり、いくつかは面白かったが、心酔しきっているような表現もあり、いまいちの箇所も多かったが、「村上文学に「父」が出てこない」という指摘には、なるほど。権威や旧世代の象徴である「父」の圧力や威厳、それを乗り越えようというような話は村上文学にはたしかに出てこない。

 そんな村上春樹のアメリカで出版された短編集の日本語版が「象の消滅」であり、いくつかの作品は日本語版収録にあたり手を入れている。
 ほとんどの作品は読んでいるはずなのだが、ストーリーの記憶があるものが少なく、情けなかったが、その分、ほとんどを初めて読んだ気になれた。

 「午後の最後の芝生」の大女のおばさんが「僕」にながらく雨戸を閉めたままだった娘の部屋や服を見せて娘を想像させるシーンが哀しくていい。
 「沈黙」はできるけど嫌な奴とそんな奴の中身を見抜けず付和雷同する人々への箴言。身近にもこんなケースもあるし、政治の世界にもありそうで、村上らしからぬ実用的なストーリー・・・。
 「象の消滅」。村上春樹の小説は長編でも短編でもふつうの生活のなかでとても奇異な出来事がごく普通に発生し、その理由も原因も語られない。まあ、このあたりが現代の国内評論家が支持しない理由だろうが、彼の作品が世界で読まれる普遍性がそんなところにあるのではないということを示す作品のひとつがこの短編だろう。 奇妙な事件なのに、読み終えると暖かい気持ちになれる。

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