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「果てしなき山稜──襟裳岬から宗谷岬へ」

果てしなき山稜──襟裳岬から宗谷岬へ
 志水哲也「果てしなき山稜──襟裳岬から宗谷岬へ」をやっと読んだ。
 93年の年末から94年の5月にかけて、襟裳岬から宗谷岬まで北海道の脊梁山脈である日高山脈、大雪山、石狩山地、北見山地を歩いた記録である。
 「大いなる山 大いなる谷」で南北アルプス、知床、日高、黒部と歩き回ったものの93年現在では次に何をすべきなのかが見つからないまま冬の日高に入る。デポ(食料や用具などをあらかじめ途中に置いておくこと)をしないので、担げる量がつきると山を下りて買い出しに行き、準備を整えてまた下山地点から山に入る。
 いつ降りるか不明なので宿の予約はできず、いつでも泊まれるユースホステルがベースとなっている。ユースホステルは今でもあるんだな、と遠い昔、北海道で泊まり歩いた頃を思い出す。山で偶然すれ違った人と別の機会に一緒に歩いたり家に泊めてもらったりとこれまた同じようなことをしていた学生時代を思い出す。

 実は襟裳岬から宗谷岬までの山行は「大いなる山 大いなる谷」を上回る厳しい状況をイメージしていたが(実際、気温や食料、ヒグマなどの問題もありとても厳しい山行であるのは確かであるが)、なんとなく余裕がある。それは時々山を下りて下界の人とつきあいをするせいだろう。一方で山の中では、なんでこんなことをしているのだろう、いつまでこんなことをしているのだろうという自問自答ばかりで、黒部に定住し次のステップが見つかる前の産みの苦しみのようなものを感じた。

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