山田詠美「風味絶佳」
「風味絶佳」は映画「シュガー&スパイス 風味絶佳」の原作本である。エリカ様と柳楽優弥主演のこの映画ではどうやら作中に「ダイヤモンド富士」が出てくるらしいという噂を某ネットでみたのでそれで読んでみた。
で、小説にはそんな言葉は全く出てこなかった・・・・。
が、表題作をはじめ、すべての作品が、山田詠美ってこんな感じだったかなあ、と思ってしまう、どことなくほんわかとろりとした印象の小説集である。中ではやはり表題作の「風味絶佳」がよかったが、ひたすらグランマの元気のせいだろう。グランマ役は映画では夏木マリが演じたようだが、1952年生まれの当時54歳。ちょっと若すぎるような気もする。雰囲気としては元気な白洲正子かなあ。
山田詠美の作品は大昔に1つか2つ読んだだけであるが、当時の印象は横田基地と福生の印象が強く、女版「限りなく透明に近いブルー」であった。おお、これって村上龍のデビュー作、群像新人文学賞ではないか。村上龍も最近はすっかりいいおじさんになって青春を語ったりしているけど、デビュー当時は過激で訳がわからなかった。山田詠美も年月を経たということか・・・。
ちなみに群像新人文学賞は村上龍が1976年、78年の中沢けい「海を感じる時」を経て79年に村上春樹「風の歌を聴け」となるが、それ以外は全く知らない。(74年受賞の高橋三千綱は受賞作は知らず、78年の芥川賞「九月の空」を読んだ)
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