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山の郵便配達

山の郵便配達
 山の郵便配達を見た。
 80年代初頭の中国湖南省西部の山間地帯の郵便配達人の話。いい映画との評価が多いことは知っていたが中身はまったく知らず、郵便配達人と届ける先の人々との交流の話かな、と思っていたら違いました。ま、もちろん交流もあるのですが・・・。
 2泊3日かけて120キロの山道を歩いて郵便物を配達する公務員である父はひざを痛めて、息子にその職を引き継ぐ。息子の最初の配達に案内をする犬(次男坊)が父が家にとどまったまま息子に付いていかないためにやむなく犬を連れて引き継ぎの旅に出る。道のりの厳しさを知らされていなかった息子は戸惑いながらも徐々に父のやり方に理解を示していく。旅の途中で出会った山の民族の娘に心をひかれながらも、母と同じ境遇になることを懸念する息子。幼少のころから不在の父に威圧感だけを感じ親近感を持てず「あんた」と呼んでいた息子は足の悪い父を背負って冷たい川を渡る。背中の父は息子とのわずかな記憶を思い出し涙し、渡り終えた息子ははじめて「父さん」と呼ぶ。
 大きな波乱もドラマもなく、わずかな台詞のほかは表情の変化だけで映像は進んでいく。じんわりとした印象が残る良い作品だと思う。

 ところで、父子のドラマというのはたいていは父がいろいろな意味で立派な人であるケースがほとんどで、この映画も郵便配達にかける熱意と配達先への配慮などにこだわりそれを息子に教え込む父はある意味、立派な父親だろう。あまり立派な父を持たなかったぼくにはこういうシチュエーションができるのはうらやましい。

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