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白洲次郎「プリンシプルのない日本」

プリンシプルのない日本
白洲次郎「プリンシプルのない日本」は「文芸春秋」に50年代に連載していた氏のエッセイが中心の著作である。
 立場的には東北電力会長時代のものが多く、まだ十分に「戦後」であった時代を感じさせる。この時期電力開発は復興の鍵でありその要は水力発電であり、それを推進する立場からの著作が多いが、マックァーサー(と、白洲は書く)とやりあったころの話や吉田茂との話も多い。
 新憲法、財閥解体、公職追放、日ソ共同宣言といった歴史上の出来事としか理解できない現代人にとって、当時の空気をそのままに伝えるのは著作が当時のことで当然ではあるが、政治、経済、官僚などに対する苦言は、今の時代にこのくらいはっきりと物申す人がいると面白いなと思わせると同時に、当時と今で、やっているレベルに差はないな、とも思う。
 瀕死状態の経済であった当時の日本が今のような経済大国になることは当時はさすがの白洲さんも想像できなかったようであり、また現代の人権尊重、男女平等の観点からは問題になりそうな発言も多々あるが、気楽に読むこともできるし、深く考えることもできる一冊である。

書き忘れたので追記(2007/11/24)。

 1969年の「諸君」の記事で、政治の混乱の大きな一因としてマスコミ報道のやり方を指摘している一節を読み、ああ、この人はGHQとやりあった頃や吉田茂と組んでいた頃、マスコミから茶坊主とか昭和のラスプーチンと非難され続けていたことを思い出した。
 死後、未亡人となった白洲正子が最近は評価してくれているようでありがたい、あの頃はつらかったと述懐している。

 ボクシング一家や大家族もので視聴率稼ぎをしているようでは・・・。

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