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トリノ山岳博物館「日本の山岳写真80年」図録

トリノ山岳博物館「日本の山岳写真80年」図録 本編
トリノ山岳博物館「日本の山岳写真80年」図録 日本語解説

トリノ山岳博物館「日本の山岳写真80年」図録を入手した。

 1998年にイタリア・トリノで開催されたこの写真展のことは、この写真展の写真提供者でもある杉本誠「山を愛する写真家たち―日本山岳写真の系譜」で知った。ヤフオクで1,000円で出品されていたので購入した。
 156ページの図録本編と28ページの日本語解説書のセットである。本編の解説は(たぶん)イタリア語なので読めないが、氏名や山名などの固有名詞をたどりながら見ていった。
 本編の最初は役の行者の富嶽草創の絵から始まる。

 写真は出品元が杉本氏なので、杉本氏の上記の写真集や高くて買えない「山の写真と写真家たち もうひとつの日本登山史」あるいは昨年田淵行男記念館で開催した「山 記憶と表現」展で見たものが多い。
 表紙の写真の人々はそのいでたちから、山岳巡礼の修験者のように見えるが、よく見ると帽子には花飾りがあり横顔が女性であるとわかる。本編を見ると彼女らは大正期の長野女子高等女学校の生徒たちであり、この時の校長が日本の山岳写真の最初を飾る河野齢蔵である。女性が山に登ることのなかった時代に校長の趣味で白馬岳に登らされた彼女たちはいい迷惑だったろうなあ。
礼文島地蔵岩 同じ河野の写真のうち、この図録で初めて見たものに礼文島の地蔵岩があった。中学の時にこの岩の下を通ったが高さ50mの岩が覆いかぶさるような迫力ですぐに走り抜けた覚えがある。
 植物学者の武田久吉のポートレイトはアーネスト・サトウの次男だけのことはあり、完全に外人の風貌・・・。ちなみにサトウとは「佐藤」ではなくスラブ系の苗字である。
「前穂高の東面」「雪煙を衝いて」
 この展覧会に出品されたもので有名なものとしては船越好文「雪線」からの2点、「前穂高の東面」(画像左)「雪煙を衝いて」(画像右に少しだけ)がある。
 田淵行男の代表作でもある「初頭の浅間山」が「新雪の鹿島槍ヶ岳」とともに収録さている。初期の黒部を冠松次郎に案内した宇治長次郎の朴訥とした風貌の写真もいい。 「初頭の浅間山」「新雪の鹿島槍ヶ岳」宇治長次郎

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Adobe Photoshop Elements 5.0

photoshop elements 5.0

Adobe Photoshop Elements 5.0を数回使ってみた。4.0より細かいところで使いやすくなっている印象。
・軽くなった:起動時や切り替え操作などで非力なPCでは如実に違う。
・細かい改善:Web用JPEG保存時にJPEG品質が前回のものを保持したり、モードを8ビットに直さずともJPEG保存できたりと細かい操作性が向上している。写真整理モードの表示方法なども改善されているし、CFカード挿入時の画像取り込みのウィザードも親切になっている。

カラーカーブ・トーンカーブは未実装:従来どおり実装していないのでフリーのプラグインを使う必要がある。こちらで紹介したプラグインはそのまま使える。
カラーカーブ補正というのがついている(左画像)が使いにくい。


JPEG加工ソフトならフリーでも多数あるが、一眼レフデジカメのRAW現像機能つきでは当面 PhotoShop Elementsということになろう。なお、特別な事情がない限り、製品版ではなくアップグレード版を購入すればよい。アップグレード版・乗換版なので他のソフトがあればいい、というのが条件であり、4.0以前のシリアル番号が必要というようなことはない。

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「バカ日本地図」

バカ日本地図―全国のバカが考えた脳内列島MAP バカ日本地図ネットで増殖中の頃から見ていたので、本を覗いてみた。
バカ日本地図とは、いろいろな人が思い込んでいる日本地図を勝手に描いてみるという試みである。鳥取と島根はどっちが右?(東?とはいわない)、京都や兵庫が実は日本海に面しているとかいうまじめな話題はもちろん、県や地方のイメージを含めて俺流日本地図を描いてみようというものである。
 ぼくもトライしようかとも思ったのだがツールの使い方があまりよくわからなかったのとまともにやるとけっこうまともな地図になってしまい、ぜんぜん面白くなかったので投稿はやめた。

 ネットで今でも公開されているので本を見る必要はないのだが、ネットでは意外と進捗がまどろっこしく、この本での遷移の方がスピーディである。
 あと、巻末にまとめられた優秀作とその地図へのネットからのコメントがなかなか面白い。

 バカ世界地図になって、いまいち面白くなくなったのでその後、ネットはあまり見なくなったが、続編の書籍がかなり出ているようだ。

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「植草さんについて知っていることを話そう 」

高平 哲郎「植草さんについて知っていることを話そう 」
 70年代以前にジャズを聴いた人あるいは映画やサブカルチャーに興味を持った人ならMrJ.J、植草甚一の名前は聞いたはず。
 ぼくが初めてその名を聞いたのは、高校生当時すでに1000枚のレコードを持ち、桜木町のちぐさやダウンビートに連れて行き、油井正一になりたい、と言っていた友人Jからだったか。たまに買ったスイングジャーナル誌だったか、いずれにしても植草甚一はジャズ評論家であるのが第一印象で、そういう意味ではライナーノーツとスイングジャーナルで文字でしか出会わない油井正一や野口久光と同じラインにあった。
 だから「ぼくは散歩と雑学がすき」を見た(読んだではなく本屋で見た)ときは意外な印象があった。いずれにせよ、やっぱりかなり変わったおじさんで、はまるとまずいというのが受験生だった当時の印象で、読んだことがなかった。
 1ヶ月ほど前、NHKでシリーズ 粋な男の肖像「昔、男ありけり」という番組で、白洲次郎などとともに放映され、そういえばそんな人がいたなあ、と思い出した。

 山の写真集をヤフオクで落札したら、10冊まで送料が同じだったので植草甚一の本を同時に入手した。その本が来るまでに基礎知識をということで借りてきた本が、高平 哲郎「植草さんについて知っていることを話そう 」である。
 このテーマでかつて対談したもの、あるいは新規にインタビューしたものの記録であり、相手はナベサダ、ヒノテル、片岡義男、森田芳光、タモリ、山下洋輔、和田誠、野田秀樹、来生えつこなど多種多様、蒼々たるメンバー。タモリが植草の遺品のレコード4000枚を買い取ったエピソードも思い出した。
Bitches Brew
 で、なぜかこの本できっと一番登場したアルバムがマイルスのBitches Brew だったのでそれを聞きながら書いてます。1枚めはよくわからんが2枚めの1曲めのSpanish Keyはけっこう好き。一番好きなのはCircle in the round のLove for saleだが。夜中にZライトのスポットだけにした暗い自室をジャズ喫茶と思いこみ、まだ数枚しかなかったLPをリクライニングチェアにもたれ、ロックのグラスを片手に聞いていた頃を思い出す。

 読めば読むほど不思議な人である。本人の解説付の巻末の年譜が面白い。2・26事件の朝の雪の情景に感動したり、空襲で焼夷弾に逃げ惑ったあとで「空襲の不安と面白さと緊張感の毎日は、田舎にいて疎開しろとすすめてくれる人にはわからなかったんです」と言い切る・・・。

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安曇野の写真集その2



Photo & Essay 安曇野の風―常念岳の麓から中沢義直。98年刊行。いかにも山好きの地元の人が撮影した写真集である。いつもどこかで常念岳が見ている安曇野。範囲も本来の?狭義の安曇野にかなり限定している。画文集であるのでわかりやすい。


信州安曇野―山本建三写真集。92年刊行。最初の数ページを見ただけで上の写真集との違いがわかる。なんとなく街角を近距離で見ている。と、名前だけは知っていた著者のことをネットで調べてみると、ずっと京都を撮り続けている写真家だと判明、なるほど、これは京都の街角の視点なのだ。さすがにそれだけの人であり、なんとなく写真に威厳を感じるのは気のせいか。安曇野といいながらかなり広範囲が対象となっている。


安曇野花の四季―宮下済雄写真集。93年刊行。かなり狭い範囲かつ素人でも行ける場所を紹介しながらの花の写真集であり、特に碌山美術館周辺での撮影が多い。これだけ狭い範囲でもこれだけの表情が出せるのだと感心した。

 3冊とも良い写真集であるが、最初の1冊を除き撮影時期が古いので、もう少し最近の安曇野を伝える写真集を探してみたい。

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「坂本直行作品集」「坂本直行スケッチ画集」

坂本直行作品集
坂本直行作品集

「坂本直行作品集」は坂本の没後5年の1987年に刊行された氏の初の作品集であり、30cm×26cmの大型本である。坂本を画家として自立するきっかけをあたえた彫刻家峯孝、写真家兼本延夫らが所蔵家を訪ねて撮影、厳選した100点余りが収められている。
 坂本の妻、長男に加え、峯、兼本のこの作品集と坂本にかける想いもつづられておりなかなかよい画集となっている。
坂本直行作品集
坂本直行作品集

 代表的な日高の絵は油彩・水彩で多数あるし、晩年に出かけたヒマラヤや草花のスケッチも多く収録している。
 日高の絵がいいのはもちろんであるが、草花のスケッチがいい。
 坂本の草花スケッチといえば「六花亭」の包装紙にも採用されたが、実物の草花よりも暖かいような気がする。これをもっと見たくなる。
坂本直行スケッチ画集坂本直行スケッチ画集

 というわけで購入したのが「坂本直行スケッチ画集」。こちらは21cm四方とやや小振りであるが、259点のスケッチを収録。こちらは坂本の没後に実物のスケッチ集を初めて見た息子たちが埋もれさせるべきではない、と出版を決意したもの。1992年刊行。
 希少本で、AMAZONマーケットプレイスでは1万円以上する。
坂本直行スケッチ画集
坂本直行スケッチ画集

 草花のスケッチが全くすばらしい。作品ではないほうがのびのびと書いているのか、またコメントのせいもありむしろ作品よりも好ましく感じる。作品にはサインが入っているが、入っていないほうのほうがすがすがしく見える。
 画集には草花のみならず日高をはじめ北海道各地の山河のみならずヒマラヤのスケッチ帳の写真もある。季節ごとにまとめたスケッチの合間に、坂本の著書からの引用のコメントが載せられている。写真撮影は「作品集」をまとめた兼本。

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安曇野の写真集その1

 昨年の今頃は安曇野を訪ねた。というわけでもないが安曇野の写真集をチェック中。

穂刈貞雄「安曇野 アルプス山麓の四季」穂刈貞雄「安曇野 アルプス山麓の四季」
穂刈貞雄「安曇野 アルプス山麓の四季」。槍ヶ岳山荘の穂刈さんの写真集。96年刊行。アルプス山麓の四季の副題のとおり、北アルプスを意識した作りになっている。けっして山を中心の写真ではないが、いつでも山がある景色を感じるし、あまり素材に凝って芸術性に走るところもない好感の持てる写真集。巻末には町ごとの撮影ポイントの詳細な解説がある。

安曇野光彩

赤沼淳夫「安曇野光彩」。燕山荘の赤沼さんの写真集。赤沼さんは5年ごとに写真集を出しているようで、91年に「燕岳と安曇野-信州光彩」を出版、5年間で安曇野もまた変ったということでこの作品が96年、上の穂刈さんとたまたま同時期である。
 こちらはやや素材志向というか芸術志向。こちらもある意味、安曇野の典型的な風景であろうが、撮影場所の記載がないので安曇野の風景を探求し、その場所に行きたいという人にはあまり向かないかも。
安野光雅 安曇野安野光雅 安曇野
安野光雅「安曇野」は81年刊行。安野光雅を最初に知ったのは昔、旧第一勧銀の通帳だったかな。で、当然この本は写真集ではなく絵である。ただし画文集という感じで上の右の写真のように見開きで右にエッセイ、左にスケッチとなっている。安野光雅その人が山を知らないわけではないようだが、山のスケッチを見たときにその山があれだとわかる書き方でないとどうもいまいちに感じる。エッセイはなかなか良いのであるが・・。

上高地・安曇野―輝ける大地の自然と人
上高地・安曇野―輝ける大地の自然と人 大町山岳博物館編は写真集ではないが、面白そうなので手にしてみた。まだ読んでいる最中・・・。どちらかというと北アルプスを中心にした歴史的な解説が多いが、けっこう読み飽きているはずの明治大正期の上高地の話なども知らないことが多く、面白く読める。


旅 安曇野・北信濃

旅 安曇野・北信濃は97年刊行の旅行ガイド。図書館で上の「上高地・安曇野―輝ける大地の自然と人」の横にあったので借りてきた。文庫本サイズで期待していなかったが、ほぼ全部が写真集である。範囲も北信濃を含めているため広範囲である。安曇野編は、安曇野 花紀行、アルプス展望、上高地・奥上高地、安曇野風情とテーマが分かれ小さいながらもなかなか立派な写真が多い。ただし安曇野よりは上高地や北アルプスでの写真が多い。安曇野のスタートが、ウェストンが絶賛した保福寺峠から始めているのも作者の思考の表れだろう。

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星野道夫 長い旅の途上


星野道夫 長い旅の途上
星野道夫 長い旅の途上は単行本が99年、文庫版が2002年の刊行。星野の遺稿集である。遺稿集のためすでに公表済みの文章が重複して収録されており、星野の著作をそれほど読んでいないぼくでも1/3くらいは読んだ記憶があった。また星野自身も、キーとなるいくつかの思考やエピソードは何回か別の場所で語っており、そのせいもある。
 5月4日に「星野道夫」の写真展に行ってきたが、その時写真の横に置かれた短いメッセージの多くはもちろん彼の著作からの引用であるが、実はそのうちのいくつかは星野自身ではなく、彼が出合った人々の言葉であることが本書を読むとよくわかる。

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坂本直行「雪原の足あと」

坂本直行 雪原の足あと

「雪原の足あと」は1965年刊行の坂本直行の画文集である。版元の茗溪堂で1975年復刊分が購入できるようだ。昭和32年刊行の「原野から見た山」以降のエッセイが主体であるが、前作よりも今回の方が同じ北海道でもより広範囲になっている印象。
 刊行の昭和40年は坂本はすでに開墾生活に決別し、画家に専業しており、その気持ちの差がゆったりとした紀行文ににじみ出ている。多くは山や動植物にかかわるエッセイであるが、書名となった「雪原の足あと」は開墾生活に決別するにあたっての挫折感がにじみでるやや悲痛な文章である。この短文だけではうちにこめられた意味がわかりにくくまたそのように書いたのであろうが、「開墾の記」を読んでいるとそこが見える気がする。

坂本直行 雪原の足あと

 とはいえやや重いのはこの一文だけであり、その他は、特に友人との山行紀行はいつもながら楽しい。また「原野から見た山」よりも大きなB5になったこと、カラーが多いことから画集としてもかなり良い。(「原野から見た山」も茗溪堂で復刊中のものはB5)

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日高山脈の写真集4冊

日高山脈の写真集を4冊見てみた。以下、刊行年順。

日高・夕張・増毛
 山と渓谷社 日本の名峰3「日高・夕張・増毛」。87年刊行、1,700円。山と渓谷社にはこの「日本の名峰」シリーズと、後述する「日本の山と渓谷」シリーズがあるが、前者はコースガイド中心、後者はより高価でプチ写真集となっている。
 前者の1シリーズとなるこちらは大きさの割りは写真は迫力があるが、いかせん、編集というかレイアウトが全然わからない。いくら近接の地域とはいえ、日高・夕張・増毛の3つの山がランダムに登場してくるのでわかりずらいのが初心者にとっては最大の難関。

日高連峰
 梅沢俊日高連峰。93年刊行のヤマケイの山渓山岳写真選集の1冊。大型本(A4縦)。写真集としてみた場合、この記事の4冊の中で一番良い。写真はほとんどすべてが見開きで印刷もよく、構図も良く、風景以外の素材もいい。逆にぼくのような日高初心者には撮影対象や撮影場所の同定がかなりやりずらい。巻末の撮影データのコメントに多少の記載があるが、わからない山が多くて残念。巻末に5コースのガイドがある。定価2,900円。中古も2,000円くらい。

日高連峰 伊藤健次日高連峰。ヤマケイの日本の山と渓谷シリーズの1冊である。2000年刊行。1,900円。ちなみにこの2巻「大雪山」は上記の梅沢が担当。87年刊行の上記「日高・夕張・増毛」と比較するのは無理があるが、2000年刊行のこちらはハードカバー、折込パノラマを含めかなり上質の本である。価格が87年の1,700円に対しこちらが1,900円は納得できる。この本は目次のあとに写真ではなく、坂本直行のエッセイ「楽古岳の便り」が「原野から見た山」から転載されている。巻末には坂本と伊藤秀五郎(「北の山」の作者)の話、動植物等の記載があって、最後にわずかにコースガイドとなる。ガイドとしては不十分だろうが、写真集としてはなかなか良い。

遥かなる山並み 日高山脈 市根井 孝悦 遥かなる山並み 日高山脈。これも山と渓谷社。2001年刊行。3,800円。こちらは横開きのパノラマ向きの写真集であり、A4横開きの写真はなかなか見ごたえがある。山域や動植物等の解説も最小限付いているが、ヤマケイのこの横長シリーズはどちらかというと個人写真集のイメージが強く、写真集としてはすばらしいが総合的ではない。気に入った地域のコレクションのひとつとしては良い。

1冊だけ選べといわれると初心者にもやさしい総合写真集という意味で伊藤健次の「日高連峰」かな。

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星野道夫 星のような物語展

図録
 横浜・高島屋で開催中(5月7日まで)の「星野道夫 星のような物語」展に行ってきた。
 星野道夫のパネル写真は昨年6月「八ヶ岳自然センター」のメモリアル展にあったが、当時は星野をほとんど知らなかったのでよく見ていなかった。
 写真へのスポットだけのやや暗めの会場には、やはり中高年が多いものの、連休のデパートということもあり家族連れも多く老若男女でかなり混雑していた。
 入り口付近には女性、子供向けなのか、アザラシとホッキョククマの可愛らしい写真が多く、ちょっとイメージが狂ったが、進むにつれ、カリブー、ムースといった本来の星野の写真の世界になっていた。途中、3箇所で「春」「夏・秋」「冬」のアラスカの映像(各5分程度)の上映があり、中央にはNHKのハイビジョン放送と思われる映像が流れていた。
 かなりの写真はすでにいくつかの写真集や出版物で見覚えがあるものであったが、横が1.5mほどもある大きなパネルでの写真はやはり見ごたえがある。
 出口付近には特別展示ということで若い頃の写真やシシュマレフからの手紙、撮影日誌、星野の文章が掲載された国語や英語の教科書なども展示されていた。
 展覧会をあまりじっくり見ないぼくだったが終わってみるとちょうど1時間経過していた。

 売店には見慣れた本やDVDが多かったが、ちょっと面白い雑誌があったので購入した。

 図録を購入して展覧会の展示と見比べてみた。
 展覧会は入り口にクマやアザラシの写真があったと書いたが、図録の収録順序の方がよりストレートというか良い順番だと思う。ちなみに図録ではアザラシは一番最後であった。収録されている写真は展覧会のものはたぶん100%収録している、というか図録では展覧会場で見た記憶がない写真が何枚かあった(記憶違いかもしれないが)。

P.S P.S 巻末158ページの奥多摩と鷹取山の写真のキャプションは逆だが星野道夫事務所に照会したところ、増刷分からは修正されているとのこと。

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星野道夫の700冊の蔵書

Coyote(コヨーテ)2004年11月号「特集星野道夫 ぼくはこのような本を読んで旅に出かけた」
 横浜高島屋で開催中の「星野道夫」展で、ちょっと面白い本を買ってきた。Coyote(コヨーテ)2004年11月号「特集星野道夫 ぼくはこのような本を読んで旅に出かけた」である。amazonでも新刊で購入できる。
 通常雑誌などの特集は全体の一部、半分以下であることが多いが、これは連載記事を除きほぼ全部が特集記事で、巻末の残りは植村直己の特集だった。AMAZONのレビューにあるように「お買い得、読み応えがある1冊」となっている。

目次 クリックで拡大 購入のポイントは目次にあった「700冊の蔵書ガイド」。星野が暮らしたアラスカ・フェアバンクスの書斎の様子はNHKの特集番組で見たことがある。書斎の撮影が目的ではなかったのでざっと映っただけであるが、川崎精雄や坂本直行の著作があった。ねじめ正一もあったな・・・。星野が坂本直行のファンだったことは有名で、ぼくもその流れで最近日高山脈の本をチェックしているが、星野レベルで打ち込む人はどんな本を読んでいるのか覗いてみたかった。
 この本では700冊のリストはもちろん、特に影響を与えたと思われる本をいくつかピックアップして解説している。その中には今、ぼくが読んでいる坂本直行「雪原の足あと」もあった。おお、やっぱりあったかの「エンデュアランス号漂流」。え、読んでいたの?の「ゲド戦記」とかなかなか面白い。

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写真集 日高山脈

写真集 日高山脈 坂本直行の絵を楽しむために、日高山脈の写真集を何冊かチェックしている。最初はその名も「写真集 日高山脈」北海道撮影社1979年刊行。限定1000部。定価16,000円と高価で中古でも1万円以上する。
 名前のことだけはある写真集である。

戸蔦別岳から望む幌尻岳とカール群
エゾツツジなどの写真(下)

 風景写真も大きく立派なものが多い。また動植物の写真も豊富で、高山蝶も種別に写真がある。残念ながら時代ゆえカラーの発色や印刷がいまいちではある。ただ時代を考慮すれば写真の多くがカラーであるのは立派だ。
札内川上空からカムイエクウチカウシ
明治27年刊行 50万図

 空撮にも力を入れており巻頭の折込パノラマ4枚を含め、随所に空撮写真がある。
 日高山脈の生い立ちや山名の由来、動植物、登山記録など資料も豊富であり、特に、明治27年刊行の50万図の掲載が目を引く。アイヌ人の案内人を立てながら山名を決めた頃の地図であり、地図そのもののデザインも現代のものよりも格好がいい。
 坂本直行も当時の登山装備とカールについて寄稿している。カールについては執筆当時認定された23以外にこのようなものがあるとスケッチ入りでいくつかを紹介している。現在、日高山脈におけるカール跡は30以上といわれており、坂本が指摘したものもカール跡であったのだろう。

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星野道夫「イニュニック[生命]」

イニュニック[生命]―アラスカの原野を旅する星野道夫「イニュニック [生命]―アラスカの原野を旅する」を読んだ。
 1990年にアラスカに土地を購入し、家を建ててから93年までの「マザー・ネイチャーズ」の連載をまとめたもの。読んだのは93年12月の初版単行本(新潮社)。AMAZONを検索して単行本がすでに絶版なのにビックリした。
 エスキモーの言葉で「生命」を意味するイニュニックを書名にしたこの本については、湯川豊が星野道夫へのロングインタビューで何回も採り上げており、そのせいか随所に見覚えのあるフレーズが出てくる。連載そのものが生命をテーマにしたものではないが、カリブーを追いかけ、グリズリーと出会い、ブッシュパイロットやインディアンの死に遭遇し、狩の現場に立ちあい、否応なく生命のつながりを思考していくことになる。

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「日本の山々」塚本閤治作品集2

日本の山々
 古本を購入していると時々掘り出し物にぶつかる。

 塚本閤治作品集の1となる「日本の山々」はコースガイド・記録に近いものであった。
 同じ題名「日本の山々」塚本閤治作品集2はより上質な記録写真集である。1よりもかなり良い。
昭和25年刊行で扉の上高地からの穂高のみが天然色であとはモノクロである。
 前半は「写真紀行」。これも前作同様バラエティに富む。

黒部の貴重な写真
・奥秩父の山と渓、残雪期の飯豊山、黒部川下の廊下、鹿島槍と爺ヶ岳、前穂高北尾根と奥叉白谷、美ヶ原、南アルプスの南端、宝剣岳中御所谷遡行、尾瀬と会津駒ヶ岳、春の乗鞍岳。
 山名を見ただけでバラエティに富む内容だと確信できる。

飯豊山のマタギの生活。解説文の字が異常に小さい
猪谷千春の若き頃

 まだダムなど一切ない頃の黒部川の貴重な写真や飯豊山のマタギとのクマ狩など貴重な記録もある。剣沢の写真のコメントに「上流には落差400米と云われる秘められたる巨瀑”剣の大滝”が在る」とあった。もちろんまだ剣の大滝を誰も見たことがない時代である。
 また、あの猪谷千春(1956年のコルティナダンペッツォ冬季五輪・スキー回転でトニー・ザイラーに惜しくも及ばず銀。現IOC副会長)の少年時代の写真があった。ちなみに父の六合雄はこの本に乗鞍岳のエッセイを書いている。

クリックで拡大 後半は写真紀行に収録した山に関するエッセイを当時の一流のアルピニストが寄せている。詳細は目次画像を参照されたい。執筆順に、田部重治(1884-1972,66歳)、武田久吉(1883-1972,67歳)、冠松次郎(1883-1970,67歳)、槇有恒(1894-1989,56歳)、松方三郎(1899-1973,51歳)、村井米子、黒田正夫、藤木九三(1887-1970,63歳)、中西悟堂(1895-1984,55歳)、猪谷六合雄(1890-1986,60歳)となる。( )内は生没年と刊行当時の年齢。備忘です。 村井と黒田は知らなかったので調べてみたら以下のとおり。

 村井米子は「食道楽」で明治期に名をはせたジャーナリスト村井弦斎の長女で女性登山家第一号といわれる人。女性ならでは感性で展望と草原の美ヶ原を時には上田敏訳の詩も添えて描写している。
 黒田正夫は大正から昭和初期に南ア・聖岳に初子夫人との登山の記録があるが、ここに収められた「遠山川西澤」はそのときの模様であり、地域・時代風俗から中村清太郎の紀行を読んでいる気分になった。

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日本の名山 写真家の視点で選んだ100山

日本の名山 写真家の視点で選んだ100山 日本山岳写真協会「日本の名山 写真家の視点で選んだ100山」を題名に惹かれて読んだ。
 写真はさすがに見事なものが多いが、やや詰め込み過ぎの感がある。一山一頁(大きさはほぼA4)は無理でも、せめて半分くらいの大きさを下限にしてほしい。あまりにも小さな写真は撮影者が可哀そうだ。
 さて、題名からは「絵になる山・被写体としてすぐれた山」が選定されているはずである。が、ではなぜこの山がないのか、というのもいくつかある。本家・深田百名山はもちろん、数を限定する以上、万人が同意できる山を選ぶことはできないが。
 
 北海道では、利尻山、羅臼岳、斜里岳、トムラウシ、大雪山、十勝岳、阿寒岳、羊蹄山となっている。円錐形の山が多すぎやしないか。まあ、それはともかくなぜ日高山脈からはひとつも選ばれなかったのだろう。最近ちょっと凝っている日高山脈の山がないので、かなりがっかりした。深田百名山の幌尻岳はもちろん、戸蔦別岳、エサオマントタベツ岳、カムイエクウチカウシ岳、ペテガリ、1839峰など被写体は多数あるし、山脈そのものが被写体のはずだが・・・。
 山以外には八幡平、尾瀬、雲ノ平、志賀高原なども入っており(尾瀬とは別に至仏山、燧ヶ岳も入っている)木曽駒ヶ岳とは別に宝剣岳が入り、撮影ポイントとしてはわかるが被写体としてどうかと思う蝶ヶ岳、甲武信ヶ岳が入るなど選定基準がよくわからない。
 一方で、妙義山、烏帽子岳(北ア、裏銀座)、針ノ木岳あたりは被写体としてはわかるが・・・。

P.S Dさん、すばやいチェックありがとうございました・・・。

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