坂本直行「原野から見た山」
坂本直行の名前を知らない人は多いだろうが、多くの人はその絵を知らずに目にしているはずだ。
北海道みやげの甘いものと言えば「白い恋人たち」が有名だが、もう少し高級な定番となると六花亭のバターサンドやホワイトチョコとなる。ホワイトチョコなどの包装をかざる花のスケッチが坂本直行のものであり、六花亭は坂本直行記念館も設置している。
「原野から見た山」は坂本直行の代表的な画文集であり、朋文堂山岳文庫として昭和32年に刊行。中古本は5千円から2万円程度までばらばら。ぼくは箱に一部はがれがあるものを3千円で入手。
坂本直行という反骨の画家、原野から見た山という題名から、いかにも堅そうな文面が想像され、入手して数日は手を出さずそのままにしていたが、読み始めると堅い文面の予想はまったく違い、笑いながら一気に読み終わった。
昭和初期から20年代までの著者ひとりあるいはパートナーとの愉快な山旅の様子が、素朴なスケッチとともに簡潔・素朴に綴られている。エッジもない手作りのスキーを始め現代とは比べ物にならない貧弱な装備でヒグマがうろうろする北海道の山を楽しく歩いた記録は、アラスカの自然を歩いた星野道夫が憧れた世界であることがとてもよくわかる。
P.S「原野から見た山」をはじめ坂本直行の本は茗溪堂から再販されているものもあり、AMAZONで購入可能である。
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