塚本閤治「日本の山々」
塚本閤治「日本の山々」は昭和16年9月の刊行。定価5円。塚本は「山を愛する写真家たち」によれば、1896年生まれ。写真よりも動画で名を成し、彼の山岳動画はメディアが少なかった国内の登山家のみならず海外の作品展などでも数多く入賞している。
塚本の名前は知っていたが、このような遍歴はさきほどまで知らなかった・・・。で、「日本の山々」を写真集だと思って借りた。「塚本閤治 作品集1」と副題もあるし。
で、たしかに写真集ではあるが、形態は登山コースガイドである。ただし、そのコース選びは均一ではない。春山の中ア・空木岳に始まり、槍ヶ岳の案内はなんと北鎌尾根・・・。いずれも興味深い登山記録写真であるが、時代を反映し、年号は例えば「赤石岳から塩見へ」は2594年となっている。一瞬ののち、ああ、皇紀かと気がついた。
コースガイドの形式をとっているのでコース概念図や解説記事に写真が付属するレイアウトであるが、記事はガイドというよりもエッセイに近いものであり、また全ページあるいは大部分が写真というページも多く、作品集であることは間違いない。
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