星野道夫「旅をする木」
星野道夫「旅をする木」。なんと読後感の良いエッセイなのだろう。
アラスカ、厳しい自然、広大で美しい自然と動物。これらが重要なファクターではあるが、朴訥で自然なインディアンやエスキモーの人々のおかげであろう。自然の中で暮らす少数民族と向き合えば、こんな気持ちにさせてくれるのであろうが、相手はこちらのことも良く見ているし感じている。彼らが星野を迎え、仲間として向き合ってくれるのは、アラスカに根を下ろしていた星野だからこそできることであろう。アラスカにはいまだに本当の狩猟民族が残っている。彼らの生活を垣間見ると、都会での暮らしに嫌気がさしてしまうが、彼らの生きる場所で彼らと暮らせるわけでもない・・。
山岳画家である坂本直行の話が出てきて、彼の絵が北海道のお土産名物(ぼくも出張のおりに買って帰った)六花亭のホワイトチョコレートの包装紙になっていることを今頃知った。坂本直行記念館は六花亭が建てたものだった・・・。
このエッセイは93年からのもので単行本の刊行は95年8月。翌年、星野は事故死。
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