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「聞いて、ヴァイオリンの詩」「千住家の教育白書」

聞いて、ヴァイオリンの詩
 千住真理子「聞いて、ヴァイオリンの詩」を読んだ。
 千住真理子のバイオリンは一度も聞いたことはない。名前だけは昔からよく聞くが。というかクラシックはあまり興味がなくて、ショパンのピアノ曲とかラフマニノフの2番とかピアノ系は聞くことがあるが、後はジャズやシンセに編曲された原曲を聞く程度で、この本で千住が想定している素人に入る。
 amazonで検索すると千住は95年くらいからいくつかの著作があるようだ。この本は幼少から近年までのトピックをさまざまな雑誌で書いたエッセイをまとめたもので、話の深さなどには差があるが、「天才少女」だった彼女の実像と内面を描き出す。20歳の頃、バイオリンを辞めた話は当時ニュースなどで報じられていたが、その間の事情も書いてあるが、本当に悩んだことは書きにくいのかやや表面的な部分もある。結婚についても同じ。両親と仲の良い3兄妹が印象に残る。
 演奏家という日常生活が移動の毎日となる職業の厳しさはわかる。毎日、満員電車で通勤できる我々は幸せなのだ。

千住家の教育白書
 千住文子「千住家の教育白書」を読んだ。
 なぜ千住家だけが3人の子供がいずれも一流の芸術家となったのかというのは、以前から俗世間的なネタであったが、当の千住夫妻もよく聞かれる質問であり、生前の夫からの宿題がこの本である。
 千住真理子やその兄たちが、千住家で一番の芸術家は母でありいつか母に千住家のことを書いて欲しいという話が上記「聞いて、ヴァイオリンの詩」に出ているが、父の死後にやっと実現したものがこの本である。
 書き下ろしなので、読み応えがある。
 3兄妹が幼少の頃の日常の遊びの風景から始まる本書は夫(千住鎮雄)との出会い、3人の子供の教育、父母の死、夫の死などが等しく綴られ、「教育白書」ではなく、「千住文子の人生」そのものが綴られている。
 意外であったのは千住家は資産家でも名家でもなかったということである。それにしてもただでさえ3人も子供が居れば相当な養育費、教育費がかかる。しかも3人とも小学校から私立。娘はいかにもお金がかかりそうなバイオリンをやっている。いつも勉強をしていて実態がよくわからない夫がどの程度の稼ぎでこれらを支えていたのか。そういう下世話な話題にはこの本は応えていない。「子供の人生は子供のもの」という固い信念の夫とそれに邁進する妻の姿が描かれている。父母の死、夫の死の場面が妙に印象的な家族愛の本であった。

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