三浦敬三「遥なる山を訪ねて」「百歳、山スキーと山岳写真に生きる」「101歳の少年」
三浦敬三「遥なる山を訪ねて」を読んだ。山岳写真集である。
三浦敬三がスキーだけでなく山岳写真でも草分けであることは「山を愛する写真家たち―日本山岳写真の系譜」で知ったが、この本に紹介されていたのは息子・雄一郎がすべるスキーの写真が多く、あまり興味はなかった。
しかし、三浦は60歳を過ぎて初めてヨーロッパに渡り、アルプスの姿に魅了される。「遥かなる山を訪ねて」は、最初に海外に出かけた60年代から80年代までの写真を収録している。対象はヨーロッパアルプスを中心にコーカサス、ニュージーランド、ヒマラヤ、グリーンランドと世界に渡る。限られた紙面なので収録した数は多くはないものの、嫌味がなく、自然体でほっとする写真集である。
「百歳、山スキーと山岳写真に生きる」は、そのスキーと山岳写真について語るどちらかといえば硬派な本である。冬の八甲田を中心にほとんど独学で学んだスキーの技術論はなかなか楽しく、100歳の老人の執筆とは思えない。初期のスキー時代を作ったシュナイダーやいまや過去の人になってしまったけれどもステンマルクの話なども楽しい。ステンマルクと海和俊宏の技術の違いの話など、100歳の三浦の風貌からは想像できない基礎スキーの第一人者であったことがよく分かる本である。
一方、三浦敬三「101歳の少年」は、どちらかというと中高年向けの啓蒙本に近い。前半は健康法などの話が多く、ややかったるいが、後半、スキーの話になると、いきなり筆は快調になる。この人は本当にスキーが好きなんだなあ、と思う。現代の短いスキーの選び方、チューンナップの仕方などはさすがと思える。
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