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東野圭吾「手紙」

東野圭吾「手紙」
 これも仲間内で話題になった東野圭吾「手紙」を読んだ。

 自分の大学進学資金を作るために強盗殺人犯となった兄。その弟がどのような差別と苦悩に苦しむかという話である。
 東野の本を読んだのは初めてだが、描写がとてもうまく登場人物の背格好はもちろん容姿まで見えるようだ。頭の中にシーンが詳細に思い浮かぶ。細かい描写をしているわけではないが、その場所がどんな雰囲気の場所であるかを読者に自然と分からせることで背景が浮かび、それによってストーリーにリアリティが増すようだ。

 自分が犯した罪ではないのに差別を受ける主人公、そして妻、娘・・・。犯罪はその家族をも不幸にするとは具体的にどういうことかがわかる。
 高校時代からスタート。主人公の成長に合わせ、バイト、大学、バンド、就職などといくつものフェーズで差別と偏見がごくふつうに行われていく。教師、バイト先の店長、恋人の父、就職した会社の社長、その他登場するけっして悪人ではない人たち。彼らの言葉が重い。
 兄に対する主人公の気持ち、向き合い方、そして犯罪者の弟であるという現実への向かい方も徐々に変化していく。最後まで結論は出ていないような気がする。
 少し気になったのは、主人公の女性に受ける甘い容姿、バンドに入るきっかけとなるすばらしい歌声などが、人生のいろいろなフェーズで主人公が差別に出会うために設定されたような気がすることかなあ。容姿がなければ同じような境遇とはいえ、あの献身的で理解と勇気がある奥さんはいなかったのではないか、と思うのは甘い容姿に縁がない者の僻みか・・・。

 この本はすでに映画化されているがアマゾンのレビューを見る限り、映画の出来は賛否両論のようだ。原作の時間の流れを考えると2時間では厳しいのか・・・。

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» 「手紙」東野圭吾著、読んでみました。 [男を磨く旅]
「手紙」東野圭吾著、読んでみました。「東野圭吾」15作目です。かなり重い内容ですし、楽しい話じゃ無いんですが、作者の力量もありどんどんページが進みました。「剛志」が犯した「重罪」の波紋が消える事無く「直貴」に訪れる「幸せの芽」を悉くかき消してゆく。直貴を取り巻く社会の大人たちの振る舞いも、殆どが「善と偽善」の狭間のような対応なだけに、直貴自身も納得できてしまうのが「つらい現実」だ。本人が全く悪い事を何一つしてないだけに、読者の殆どがその「やるせなさ」や「憤り」を感じる展開だが... [Read More]

Tracked on 2007.06.01 at 07:39

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