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漆(うるし)の本

漆(うるし)についての本をいくつか読んだ。
 山や、ハイカーにとって里山に生える漆の木は嫌われ者である。かぶれるから。家にあるお椀もたぶんみんな樹脂性のもので、漆には全く縁がなかった。
 最近、漆器のウルシが乾くという事象が水分蒸発ではなく、化学反応・酸化であるということを聞いて、ほう、と思っていくつか本を探してみた。

松田権六「うるしの話」
松田権六「うるしの話」
最初に読んだのがこの本。文庫なので読みやすそうだと手にした。
 人間国宝、文化勲章受賞者、「うるしの神様」といわれた著者が昭和30年代の終わりに3日間の対談で述べたもの。職人肌でなかなか手厳しい部分が多いが、漆の木の話から樹液である漆そのものの物理的特性はもちろん、素材、工程、技法などを詳細にその歴史を含めて解説しており、入門書としても最適と思う。
 昭和初期から国内はもとより船舶や万年筆など漆を海外からも注目させ、楽浪郡遺跡、正倉院御物、中尊寺金色堂修理など、豊富な経験談は大変面白く含蓄がある。
 この本を読んだあとでNHKの「JAPANを訪ねる旅」を見たので駆け足でやや表面的なこのTVも別の見方ができた。
山岸寿治「漆よもやま話」
山岸寿治「漆よもやま話」
こちらはまさに四方山話であって、漆そのものよりも日本の文化といった面の話が多い。木の文化、色と日本人、道具と技(わざ)と冒頭から100ページ以上にわたって漆のうの字も出てこない。後半は漆器や漆芸の話になるが、やや駆け足の印象を免れず、入門書としては読みにくい。むしろ前段を日本文化論として読むと面白い。

P.S 2006/12/10追記
「漆芸界の巨匠 人間国宝 松田権六の世界」が12月19日から東京国立近代美術館で開催される。詳細はこちら

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輪島塗、会津塗といった産地別にその特徴などを紹介している。最初に工程や用語集などを置き、産地別の解説が続く。  津軽、秀衡、浄法寺、鳴子、輪島、山中など国内が琉球を含め31、海外はタイ、ミヤンマー、... [Read More]

Tracked on 2006.11.22 at 01:03

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