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江上剛 大罪

江上剛 大罪
 江上剛 大罪を読んだ。今回のモデルは名前から見る限り三井住友銀行とゴールドマン・サックス(GS)。居座り続ける頭取は、彼が日本郵政株式会社の社長に内定したニュースに接した経団連会長の奥田トヨタ会長が「あんなダーティな奴」と吐き捨てた西川善文。そのダーティなパートナーとなるGSの担当は小説ではアメリカ人であるが、実際の日本支社長持田昌典氏は旧第一勧銀からのスピンアウト。
 小説のあらすじは銀行側のストーリーであるが、「うちの意向はアメリカ政府の意向」とうそぶくゴールドマン・サックスの凄みが底部にある。多数の女性事務職やアシスタントを含めた平均年収が6千万円を超える証券会社って・・・。こうした高額報酬で築いた個人資産をもとにユーザーを秘密倶楽部で接待攻勢にさらす。会社の金で接待をすれば贈賄にあたるものも個人資産を元だから犯罪ではなく単なる饗応で法的にクリアできる、というのが小説の話。ここで語られる政財界の大物をメンバーとする秘密倶楽部が実在するのかどうかはもちろんわからない。
 雑誌「選択」11月号では「世界のフィクサー ゴールドマン・サックス」の記事があるが、ウィークデーは自宅に帰らない社員の報酬は課長級で最高300万ドル、できるディーラーだと4000万ドルのボーナス・・・。95年に財務長官になったルービンはGSの元共同会長、今年6月に財務長官となったポールソンは前CEOである。選択ではポールソンのGS時代の中国との関係についても述べているが、あくまでもGSの姿勢はビジネスである。
 この記事ではフィクサーとして5つの要件をあげている。
第1にあくまでもビジネスに徹し政治的に中立なこと
第2は、うまい話に自分から擦り寄らない
第3は、なるべく敵をつくらない。敵対的買収を避ける。フジTVの買収事件で一時期有名になった「ホワイトナイト戦術」を考案したのはGS。
第4に、もっとも重要なのは強い立場の買い手におもねることなく、弱い立場の売り手とともに平等につきあい顔を立てること。この点が「泥棒貴族」といわれ利益を根こそぎ持っていったモルガンやロックフェラーにできなかったこと、と評価する。
そして最後の5つめとして軍需産業に手を出さない。これは第1とも関係する。
ということでGSは徹底的にビジネスに徹して正攻法でやっているという高めの評価であり、日本国内におけるハゲタカファンドのイメージとはかなり違う印象の記事であった。

 さて、この小説のモデルとなった三井住友とGSとの取引はビジネスのみだったのかそれ以外の部分もあったのか・・・、もちろん当事者しかわからない。

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