田淵行男「尾根路」VS「尾根路II」
田淵行男「尾根路」を入手した。1958年刊行の方である。せっかくなので、1980年刊行の「尾根路II」と比較してみた。IIは図書館のもの。
まずは外観など・・・。(写真の大きさの関係で右端が見えません。すいません。こちらをどうぞ)
![]() 尾根路の函。4方に開く。 | ![]() 厚さは尾根路IIがかなり厚いが、表示素材の厚みのため。普及版ではほぼ同じかと |
![]() 表示デザインは同じ(左:II、右:初版)。大きさはIIがわずかに大きい。右が大きく見えるのは撮影方向のため | ![]() 裏のデザインは異なる。IIはキヌガサソウ |
![]() 色調は初版(写真手前)が全般に黒めでコントラストが弱い。IIはやや灰色だが、ディテールは細かい | ![]() カラー印刷の色の違い、シャープ度は時代の違いを感じる(写真奥がII) |
次にコンテンツ。
「尾根路II」のあとがきでは初版との違いが「カラー13頁(10点)追加、モノクロの変更差替え8点で本文総頁数134頁(22ページ増)」となっている。
ぼくが見比べてみた違いは以下のとおり。なお、掲載順序の変更は特段の断りのない限りカウントしていない。【 】内は章の名前
尾根路(1958年) | 尾根路II(1980年) |
【常念・蝶・大滝】 山頂の岩 | イワウメの写真をカラーに差替え |
秋の蝶ヶ岳(カラー)追加 | |
稜線の岩(カラー)追加 | |
山の池(カラー)、山の岩(カラー) | 掲載なし |
【穂高をめぐりて】 | 【穂高・槍をめぐりて】に変更 |
横尾にて、その解説 | 掲載なし |
徳本峠にて(カラー) | 掲載なし |
雨後の涸沢2題(カラー)、 暮れ行く槍(カラー)、 涸沢新雪(カラー)追加 | |
新雪の朝 涸沢 | 掲載なし。上記に替えたか。 |
解説の奥穂高の標高誤り | 訂正済 |
【後立山】 唐松小屋の朝 | 雪景色の写真に変更 |
五龍残月 | 掲載なし |
【剣岳】 | 剣御前尾根(カラー)追加 |
【山の樹々】 ハイマツ(蝶ヶ岳にて、天狗原にて)の2題 | 掲載なし |
熊笹(浅間小諸口にて) | 【初冬の浅間】の章へ |
ミヤママンネングサ(北岳)カラー追加 | |
巻末エッセイの題名 山小屋あれこれ | 追憶の山宿としてI/IIあり、量増加 |
山路回想2を追加 | |
あとがきは横書き | 縦書き |
著者近影![]() なぜか巻末に貼り付け。 しかも上部のみ 間に合わなかったのか? | 左記写真を本文に |
1958年刊行の方は刊行から48年を経過している。ぼくより年上である。一方、「II」は1980年刊行の通常版(6,800年の普及版でなく25,000円の方)なので経年劣化の差は当然あるし、印刷技術の違いも如実である。「II」は初版から20年以上たっての復刊であり、その分、巻末のエッセイなどが充実している。
田淵が山岳写真集にある程度本格的にカラー写真を使うのは(蝶関連を除く)1967年の「山の時刻」からであり1958年のカラーはそういう意味でも貴重である。
Recent Comments