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田淵行男「山のアルバム 北アルプス回想」







 田淵行男「山のアルバム 北アルプス回想」を読んだ。といっても中古相場が2万円を下らない本なので地元の図書館経由で東京都立図書館のものを借りて読んだ。
 1985年刊行の田淵にとって30冊めの単行本ながら刊行当時の写真は一切なく、ほとんどが戦前戦後の写真である。
 田淵のデビューがアサヒカメラであり、初の単行本がアサヒカメラ臨時増刊の「山岳写真傑作集」であることは有名であるが、アサヒカメラでのデビューのきっかけとなったのがこの本に収録された写真の元になった800ページにおよぶ自作アルバムである。巻末のその経緯が書かれているが、自作アルバムが廻りまわってアサヒカメラ編集部の目に留まりデビューとなった。
 この本はその自作アルバムを抜粋したものであり、それゆえ書名も写真集ではなく「アルバム」なのである。

 この「アルバム」が貴重なのは上記のような田淵にとってデビューのきっかけとなった未発表作品集であることはもちろんであるが(「山岳写真傑作集」収録のものと8作品が重複している)、なんと言っても田淵の作品らしからぬ人物の多さであろう。セルフタイマーによるポートレート・記念写真や女子高の教師としての引率登山の写真も多く、プライベートな山行でも女性の同行が多く、デビュー前の田淵がなかなかダンディだったことがわかる。北穂の縦走路の岩場で女性をモデルにした写真も何枚かあるが、当時の写真撮影の煩雑さを考えると、同行の女性もちょっと迷惑だったのかも。

 それにしても凝ったアルバムである。

 一昨年他界した父の山のアルバムもかなり凝っていたがさすがに田淵にはかなわない。
 話は逸れるが、父の山のアルバムのうち出色の出来だったものは実家を改築するとき「知らない人と山しか写っていない」と実家の者に捨てられてしまった。木道敷設前の尾瀬の項では、ずぶずぶになってしまう湿原歩きに「ここに行くにはゲートルは必須」とのコメントがあった。一面のニッコウキスゲを掻き分けて行く姿や、池塘の浮島で「舟遊び」をする姿など、尾瀬の保護団体が見たら卒倒しそうな写真などをもはや見ることができないのが残念。
 山歩きを始めた頃の目標はこのアルバムだったが当時の写真のアルバムはフリーアルバムというのがはやりだった。その前の時代のアルバムはいわゆるサービスサイズの写真を縦横決まった場所に貼ることしかできなかったが、ページ全体をビニールで覆う形にしたことでどこにでも、またどんな大きさの写真でもレイアウトできるようになった。しかし台紙には糊がついているのでコメントをかけないのでコメントだけを別の紙に書いて切り抜いてアルバムにはさんだものである。
 今はブログとかホームページとか・・・、まさに隔世の感。

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