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田淵行男「わが山旅」

わが山旅中村清太郎の序文

 田淵行男の写真集「わが山旅」を読んだ。前年(1952年)アサヒカメラ臨時増刊「山岳写真傑作集」で初の単行本を刊行し、これに続く写真集が「わが山旅」である。
 刊行が「天文ガイド」(まだ刊行されています)や「初歩のラジオ」(廃刊です)の誠文堂新光社であるのは田淵の当時の仕事に関係があったのだろうか。ちなみに田淵の次の単行本「ヒメギフチョウ」も同社からの刊行である。

 序文は田淵にとって山と蝶の先輩である中村清太郎。中村は後に「山の紋章 雪形」で自身の雪形に関する著作を転載し、「高山蝶」では自身の高山蝶2種の発見物語を転載、また「黄色いテント」では「樹木動く」の項でハイマツが動いたことを転載している(オリジナルは「山岳渇仰」「ある偃松の独白」に収録)。

目次

 さて、構成は「傑作集」と同様、春夏秋冬に分かれている。
初期の作品は八ヶ岳や奥秩父、上越といった山の写真が多いのが特徴である。
甲武信ヶ岳で撮影した「奇雲」八ヶ岳での「嵐の前」、「新雪の一ノ倉」もこれに収録されている(いずれも岩波書店「日本の写真家11 田淵行男」に再録されている)。
 田淵自身が「尾根路」のあとがきで印刷に不満があったと記している「わが旅」であるが、そう思える写真もたしかにある。ざっくりいえばコントラストが弱めでねむい写真が見られる。
 これも「日本の写真家11」や「ナチュラリスト・田淵行男の世界」に再録されている有名な写真「立山・別山より」を3つで見比べてみると、サイズが一番小さい「日本の写真家」のコントラストがやはり一番強く、次に「わが山旅」よりも大きいサイズの「ナチュラリスト」となり、本家「わが山旅」のコントラストは一番弱い。しかしコントラストが弱いために影になっている雪渓の模様もよく見えるし、立山という山の印象をどれが一番伝えているのかは難しいところだ。3つの優劣を比較するよりは印象の違う3作に触れて楽しめば良い。

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