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田淵行男「山(世界写真作家シリーズ)」

表紙扉


 田淵行男「山」は平凡社が1958年に刊行した「世界写真作家シリーズ」のひとつである。とはいえ他にどのような写真作家が採り上げられたのかも、その人数も不明なら、日本人がどれほど採り上げられたのかも不明である。
 「山岳写真傑作集」によるデビューが1951年、翌年に「わが山旅」を刊行しているが、「世界写真作家シリーズ」のひとりとして取り上げれられるのであるからすでに山岳写真作家として不動の地位を確立していたのだと思われる。
 しかしこの本の収録写真数は少ない。同シリーズの制約のせいか、また同年に「尾根路」を出している影響もあるのかもしれない。

 さて、この本は中古も少なく、ページ数が少ない割りには中古価格が1万円を超えるものがほとんどであり(さきほど4000円というのを「スーパー源氏」で見つけたが)中身を見ないでいきなり購入するのはちょっと冒険である。
 地元や近隣の図書館には蔵書がなかったので国会図書館の蔵書を借りてみた。国会図書館は成人なら誰でも閲覧できるが貸し出しはできないと思っていたが、公立図書館宛の貸し出しを行っており、地元の図書館で借りてもらえば地元の図書館内での閲覧はできる(館外への貸し出しはできない)。貸し出し期間は1ヶ月で、その期間内であれば何回でも閲覧できる(ということが今回初めて分かった)。

 というわけで、本日、閲覧してきました。
 厚いカバーをめくると出てくるのは上の写真、次が扉。(表示の写真の黄色い点は図書館内の白熱灯が反射したもの)
 序文は登山家の松方三郎と写真評論家の伊奈信男。伊奈は「山岳写真傑作集」でも序文を寄せている(ちなみに「傑作集」の序文寄稿のもうひとりは浦松佐美太郎)。ただし二人で1ページという短い序文でやや迫力に欠ける。

作品は以下の写真解説頁のとおり。
写真解説1写真解説2


 数は少ないが常念からの槍穂など似た構図に見覚えのあるもの以外はほとんどがオリジナルのように思える。
 撮影山域は初期の作品らしく北アルプス以外にも浅間や八ヶ岳、草津白根などがある。
 扉(上右)の下段にある、花と穂高の写真が一番印象に残った。

 作品点数が少ないせいはもちろんあるが、田淵自身のあとがきも1ページの型どおりのもので面白みに欠け、サイズの問題もあり、全体としてイマイチである。
 しかも閲覧した本は37/38頁と39/40頁が2ページ飛んで逆に製本される乱丁だった。この2ページは常念山脈からの槍穂のパノラマであり、寸断されてしまっている・・・。国内すべての出版物を納本する必要がある国会図書館であるが、納本時に検査はなかったのだろうか。

 昭和33年6月25日印刷、30日発行で、国会図書館への納本日は8月21日となっていた。

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