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田淵行男「山の意匠」

山の意匠
田淵行男の写真集「山の意匠」を読んだ。
「山の時刻」「山の季節」と続く3部作の最後である。
「山の時刻」のあとがきで3部作の予告を読み、当時はまだ「山のパターンとフォルム」という題名
を見て、ちょっと奇をてらった写真集なのではないか、という懸念が読む前にはあった。
 しかし田淵にすれば「意匠」の組み込みが不十分だったのかもしれないが、あまり違和感なく読めた。写真の印刷も3部作の中ではいちばん良い。


あとがきに3部作の写真の種別が出ているので一部を引用する。


題名本文カラーモノクロ写真カラーモノクロ
山の時刻164頁60頁79頁84点37点47点
山の季節208頁80頁112頁122点56点66点
山の意匠240頁110頁130頁185点100点85点

という感じで、後になるほどページも増え、カラーも増えている。
山の意匠

 ただカラーが多いからいいかというと、田淵の写真に見慣れたせいか、そうともいえない。
3部作の中では最初に読んだ「山の季節」の印象が強く、やはり一番いいかな、と思う。ちょっと難ありの安めの古書をゲットした。「山の時刻」は読んだときにも感じたが、やや力が入りすぎで、写真により好みが分かれる。この「山の意匠」は題名ほどはパターンとフォルムには凝っていないが、蝶やスタンプ、虫や山道具の形など、「意匠」を意識したものもそれなりにある。

 ぜんぜん話は変るが、巻末のエッセイなどで初見の本なのに読んだ記憶のある文章が多いなと感じていた。主義主張がデビュー当初から最後まであまり変らないせいもあるが、実は「黄色いテント」「山の手帖」で読んだ文章が多いことに今更のように気がついた。とはいえ手元には2冊ともないので確認はできない。
 「山の意匠」のエッセイでは「アルビノ」については「黄色いテント」で読んだ覚えがある。
また、自らは標本をほとんど持たず(すなわち捕獲して殺さず)、蝶のさなぎや幼虫を育てて野に帰している生態学者としての田淵が、研究やましてやマニア相手の商売のために蝶が大量に捕獲される現実を悲しみ、怒りをあらわにしているのが印象的だった。

 さて、山の三部作のあとは麓からの山ということで「安曇野」と「安曇野挽歌」を読まなくてはいけない。「安曇野」は購入した。「安曇野挽歌」は地元の図書館を通じて都立中央図書館からの借り物で期限が区切られている。

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