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田淵行男「安曇野挽歌」

安曇野挽歌
 田淵行男「安曇野挽歌」を読んだ。前作、「安曇野」から6年後の1982年の刊行。
 自然に関わる書物で「挽歌」と名の付くものにあまりいい印象はない。時代がたてば自然は発達するよりは壊されるのが世の流れ、それを「挽歌」と嘆くだけでは読むものには無力感が残るだけ、というものが多い。そういう意味でちょっと危惧があったが、そういう印象はあまり感じられなかった。前作「安曇野」で収録できなかった白馬山麓が前半の大きなテーマとなっていることと、巻末の読み物以外の本文はつとめて押さえた書き方になっているせいだろう。

安曇野挽歌
安曇野挽歌


 前半は白馬山麓。白馬の山の写真といえば白馬三山しかないし、その姿は八方スキー場からのちょっと右下がりの三山など定番しかない。対象の山はその定番なのだが、これほど印象が異なる写真がよくも撮れるものだ。白馬本峰をはずした2山の表情の方がいいかもしれない。もっとも白馬山麓といいながらも佐野坂より南からのものもわずかに収録される。
 後半は安曇野博物誌という印象。田淵の本はどこでも蝶が登場するが、この本では蝶もさることながらその他の昆虫や植物がふんだんに登場する。とはいえそれらもすべては「挽歌」であり、過去の記録が多い。
 巻末の読み物は壊された安曇野の自然ゆえに自宅の庭が過去の安曇野を再現しているために庭の自然の解説がかなりの部分を占める。田淵家の庭は自然放任主義でアメリカシロヒトリとマツケムシ以外は生存を保障され、植物もあまり手を入れられない。さながら土御門の安倍清明邸のようだ。

田淵行男関連著作一覧

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瓜生緑地の梅

 近所の瓜生緑地には梅は少ない。桜が多いがまだつぼみもみせていない。梅もさすがに少し盛りを過ぎたようだ。

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桜ヶ丘公園の梅

紅梅

こぶし

好天に誘われてよこやまの道へ行ってみたら春霞で遠望はきかず。都立桜ヶ丘公園に梅を見に行ってきました。
都心では本日、桜の開花宣言が出されていましたが、郊外のこちらでは梅が最盛期で、この公園以外にもいたるところで梅が満開です。旧聖蹟記念館の周囲にスケッチをする人たちが多数いましたが、それ以外にはあまり人はいなくて、カメラを持っていたのはぼく一人でした。
 さすがにこぶしには少し早いようでした。
 来週になると梅から桜に選手交代になるのかな。

写真はこちら

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スパシオの自動車保険

最近ほとんど走行距離が伸びないスパシオの自動車保険を更新しました。
例によっていくつかのサイトで比較。
 比較の基本条件は以下のとおり。

【車種:スパシオ(平成11年)1.6L、対人無制限、対物1千万円、人身障害:3千万、車両50万円、30才未満不担保、家族限定】

保険会社保険料
アクサダイレクト33,640対物2千万、車両40万
アメリカンホーム・ダイレクト30,810webでいろいろ条件設定できる
セコム損保29,470
ソニー損保32,990
ゼネラリ28,090人身障害なしで26,740円
あいおい損保40,350契約とる気があるのかという価格
三井ダイレクト(現契約)24,570車両45万、35才以上、夫婦限定
Webで条件変更可。証券不発行で500円引
チューリッヒ 24,690車両45万

今年も去年と同様で、保険料がやや高めのレガシーB4(3リッター)ではアクサが安く、安めのスパシオ(1.6リッター)では三井ダイレクトやチューリッヒが安かった。
 去年と比べると各社ともWEBでの選択バリエーションが増え、アメリカンホームや三井ダイレクトなどはWEB上で自由に条件を設定、比較できる。
 三井ダイレクトは最初の見積りでも安かったが、35歳以上担保、夫婦限定などさらに細かい設定もでき、さらに安くなった。ぼくは選択しなかったが証券不発行で500円引きもある。
 営業面ではアメリカンホームは電話は来るは、DMも何回も来てややしつこい。さらにDMの中には日経ビジネス3ヶ月無料購読クーポンだとか、あの手この手・・・。
 で、まあ去年と同じ三井ダイレクトにした。



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常念・鹿島槍・蝶・雪形 「安曇野」田淵行男

安曇野安曇野

常念・鹿島槍・蝶・雪形。

田淵行男の写真文集「安曇野」を一言でいうとこういう感じか。
安曇野は田淵が戦前から暮らした第2のふるさとであり、蝶の里であり、常念岳の麓であり、その思いは深い。「安曇野」というと臼井吉見の小説が有名であるが(未読)、ぼくにとっては、後立山連峰、わざび田、「水色の時」だろうか。

 戦前からこの地に暮らし、蝶を観察していた田淵にとって、戦後の復興は開発と農薬の歴史であり、それはすなわち、自然と蝶の絶滅の歴史でもある。
 「安曇野」は1976年の刊行であり、高度成長期の開発の波が一旦落ち着いた時代でもあり、開発をまのあたりにした田淵の目にもわずかながらも自然の回復の兆しが見えた頃。
 そういう時代で、ありし日の安曇野を山と自然と蝶を中心に撮影し綴ったのがこの写真文集である。「山の紋章 雪形」を田淵が世に出すのはこの5年後であるが、この本では当然のように安曇野の雪形にも触れられている。残念なのは量の関係で白馬山麓がカットされたこと。

 表題に「常念・鹿島槍・・・」と書いたが、実のところは鹿島槍が多い。

クリックで拡大 340KB
 鹿島槍はとてもすてきな山である。後立山のみならず北アルプスで一番形の良い山ではないか。個人的には対抗できるのは水晶岳(黒岳)か黒部五郎くらいだと思う。
 この本では鹿島槍をいろいろなところから眺めている。今にもいきたくなる場所ばかりである。

というわけで、久しぶりにカシミールで可視マップを作ってみた。

田淵行男関連著作一覧

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Exif情報管理が強化されたAbleCV

 画像ソフト AbleCV(シェアウェア、1,000円)が久しぶりにバージョンアップしてとても使いやすくなった。
このソフトはデジカメのExif情報の管理に非常に優れているので、従来から使用していたが、ユーザーインターフェースがタブ中心でやや癖があった。今回の5.0AはWindowsの標準のメニューバーも付いて操作性が良くなり、機能もかなり強化された。
 ぼくは通常の画像ビューワーはフリーソフトのVix、Exif情報管理や画像HTML作成にはこのAbleCVと使い分けしていたが、ビューワー機能も強化されたのでこれ1本でほとんど用が足りそうだ。(ちなみにレタッチはいまだに
Photoshop Elements 1.0。2.0とPhotoShop 6.0の吐くExif情報が正しくなかったので。治ったんだろうか)
以下に簡単な紹介と機能強化点をまとめてみた。


標準的な画面。左にフォルダ・情報、上にカタログ、下にビューワー。

Exif情報にGPS位置情報があれば、マピオンやMapFanWebの地図を表示できる。

MapionやMapFanWebを表示してみる。

ビューワー画面をオフにすればカタログ一覧が大きく表示される。

デジカメのexif情報をビューワーに重ねて表示することも可能。

さまざまな検索機能が強化された

Exif情報のGPS情報から範囲を指定して同位置検索もできる。

検索結果はアルバムとして保存される。

カタログ表示では色が変わって表示される

4分割表示にすればフォルダ情報とEXIF情報の同時表示などが可能になる。

exif情報の最初の画面でもGPS情報が見られるようになった。

Exifに関する各種ツールは充実している

もちろん、簡単に画像用のHTMLが作成できる。ちなみにこの画面で作成したものはこれ。WEBに表示している撮影データ、位置データはEXIF情報を元にAbleCVが作成したもの(各種指定可能)。

そういえばビューワーの背景色も自由に設定できました・・・。

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読了「ある偃松の独白」

中村清太郎 ある偃松の独白ある偃松の独白 目次

 中村清太郎「ある偃松の独白」をやっと全部読んだ。購入当初は表題作と高山蝶と雪形の3篇しか読んでいなかった。
 前作「山岳渇仰」では登山家・中村清太郎としての作品がメインであったが、この本では、画家・中村清太郎としての作品が多いと感じる。
 「春雪写山行」「山の絵の伝統」は題名でわかるが、「黒部川峡谷の話」「七面山冬ごもり」は絵のために山に籠もった記録である。いずれの作も時代を反映しており、興味深いが「黒部川峡谷の話」は湯治場としての釣鐘温泉の人との交わりが豊かに描かれていて、山の話としては珍しい部類に入る。
 中村が歩いた時代なので当然といえば当然ではあるが、発見、探検の部類が多いので、文章はゆったりしていても、なかなか面白い。
 「北アルプスの秘境」は小池新道を作っていた小池さんが発見した鏡平の池まで道なき道を行く話である。中村はこの場所に「清見ガ原」、池には「穂影の池」と命名しており、穂高を湖面に映す有名なカットが添えられている。鏡平もなかなか良い名前ではあるが、「穂影の池」はいかにも画家中村らしい命名である。
 「山雪の幻像」は雪形をめぐる話である。白馬岳の名前が「代掻き馬」に由来することは当時でもよく知られていたが、その場所をはっきりと示す資料はなく、奔走のうえにそれを確認し、新聞記事を通じて世に広めたのも中村清太郎である。明治期から山を歩き、国内初の後立山縦走で二種の高山蝶を発見した中村が、昭和29年になってやっと代掻き馬の雪形を認知したことは意外にも遅い、という印象がある。しかも中村が雪形に注目しだした頃はすでに農業技術の進歩により雪形そのものが農民から忘れられてきた頃なのである。かくいうぼくも代掻き馬を最初に聞き知った頃は小蓮華岳の子馬の方だと思っていたが・・・。
 少し残念なのが「黒部川初遡行の記憶」。これは木暮理太郎と共に歩いたときの記憶(記録ではなく)であるが、木暮理太郎が「山の憶ひ出」に詳細に記録を書いてしまったので片割れの中村の方は単なる記憶で終わってしまった。「山の憶ひ出」も復刻版も平凡社版もあるが大部なのでまだここは読んでいない。

目次画像

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東山魁夷「山河遙か」

山河遙か山河遙か

 「山河遙か」は東山魁夷の画文集である。画文集といっても絵の横に簡単な詩やコメントがある程度。しかしこの短いコメントがあるかないかではかなり作品の印象が異なる。要するに素人には理解しやすい。東山魁夷クラスになると幾多の本が出ているし、その中には1冊でエッセンスを伝えるべく多数の作品が時代順に作品名と製作年くらいだけのわずかな情報とともに並んでいる。もちろん巻末には解説があるが、これは読みにくい。
 「山河遙か」はいくつかの章に分かれ、章の冒頭で魁夷が総括的な文を載せたうえで作品が並び、作品のひとつひとつにはコメントやあるいは詩が添えられているので分かりやすい。
 章の構成は以下のとおりで、109点の作品を収録している。


  • 風景との出会い
  • 京洛の四季
  • 白い馬の見える風景
  • 北欧との巡り合い
  • ドイツ・オーストリアの旅
  • コンコルド広場の椅子
  • 中国の旅
  • 障壁画の世界
    • 東宮御所
    • 皇居宮殿
    • 唐招提寺



試みに手元に昔からある集英社の廉価版の全集(1冊のみ)を読み返してみたが、掲載されていることも忘れていた作品も多く、収録された作品の選択には問題はないのに、とても読みにくい印象があった。まあ、わかる人であれば絵そのものを見ただけで作者の意図やそのすばらしさを実感できるのかもしれないが、ぼくにはこの「山河遙か」のような構成が嬉しい。

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東山魁夷「信州讃歌」

信州讃歌信州讃歌

 (承前)
というわけで、「東山魁夷の道」を読み終えたので「信州讃歌」を読んだ。
こちらは風景画家として多くの素材を求めることになった山国・信州に関わるエッセイである。美術学校の時に初めて訪れた木曽の紀行文がいかにも若々しい。
 本の大きさはB5のやや横幅が大きい変形版であり、絵は上の写真のとおり片側のページのみの印刷なので迫力はないが、帝展初入選の「山国の秋(試作:原作は戦災で美術館ごと消失)」をはじめ信州に関わる54の作品と5つのスケッチが掲載されている。「山国の秋」は一見して八ヶ岳の南麓とわかる山が大きい。でも三つ頭の左奥に見えるはずの権現岳は描かれていないけど。

「光昏」(こうこん)の誕生経緯についての貴重なエッセイもある。よく知られるようにこの作品は野尻湖からの黒姫山なのであるが、前景の樹木は箱根の姥子温泉なのであった。ちなみに原画を描いたホテルがある野尻湖の東からカシミールで黒姫山を描いてみるとけっこう絵と同じなのに今更ながらびっくりした。

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「東山魁夷の道」

東山魁夷の道月篁

 「東山魁夷の道」を読んだ。
 東山魁夷の絵を初めて見たのは学生の頃に購読していた講談社の本の情報誌「本」の表紙だったと思う。当時、岩波書店「図書」、新潮社「波」と3冊を購読していた。いずれも宣伝誌的なものなので年間購読料が極めて安かった。「図書」は難解なものが多く、新潮社、講談社と順に分かりやすくなってくる(その分、購読料も高くなって行ったが・・・)。中でも「本」は東山魁夷の名画が表紙で楽しみにしていた。
 当時の(今でも)お気に入りは「月篁」「白夜光」「緑響く」あたりか。
 その後、廉価版の画集を購入したが、代表作とされる「道」にどうしても納得できなかった。もちろん安い画集の大きさや印刷の問題もあるだろうが。初期の作品でのお気に入り、「残照」は山岳展望派には分かりやすい素材と構図。一方、この作品で転機を迎える「道」は素材も構図も素人には単純すぎるように思え、作者の意思やテーマが全く分からなかった。

東山魁夷の道

 「東山魁夷の道」の「道」はまさにこの作品のことである。この作品にたどり着くまでの氏の遍歴を、自身が懐かしい土地を訪ね歩きながら文で綴り、初期の作品を紹介している。後半は「道」以降の氏の代表的な作品集が続き、最後に唐招提寺の障壁画について語り、年譜で終わる。障壁画部分は下の写真のとおり見開きとなるのでかなりの大きさとなる(ちなみに本の函の高さは30センチ)。

 もともとこの本を入手しようと思ったのは、少し前に氏の画文集「信州讃歌」を購入したからだ。この本は氏の信州・山国との関わりを語りながら作品を紹介するもの。読み始めてすぐに中断して「それならその前に「道」を読んでおきたい」と思ったから。
 では「道」について理解できたかというと、甚だ心許ないが、少なくともこの作品が生まれるまでの経緯を知ったことは大きい。そして「道」が上まで行って終わっているのではなくて、かなたの右上にさらに続いていることを知った。
障壁画

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αSweet DIGITAL テスト

とりあえず室内でテスト

3月12日に屋外でちょっとテスト

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田淵行男「私の山岳写真」

私の山岳写真
 函もカバーもない安価なものをゲットできたので、田淵行男「私の山岳写真」を読んだ。
 遺作である「山は魔術師 私の山岳写真」は大型本であるが、こちらは写真のとおりの小型の本である。あとがきには「気軽にザックに入れてもらい山へお伴できれば幸いである」と結ばれている。
 「山は魔術師」は亡くなった田淵さんのあとを水越武が継いで構成等を担当した、豪華写真集+田淵の写真技術論であるが、こちらは山の素材ごとに田淵が語る写真術である。
 昭和39年刊行の小型本であるが、いちおう紙質は光沢がある上質紙で、下の写真のとおり見開きでの写真もときどきあり、また多くのページは写真と文の構成となっているのでミニ写真集としても楽しめる。
 中身は下の目次写真のとおり、最初に山岳写真に関するエッセイがいくつか並び、そのあとに本編、最後は撮影ガイドとなる。撮影ガイドの書き方は「山岳写真傑作集」を彷彿とさせる。
 実はあまり期待しなかったのだけれど、けっこう良かった。
 最近のカメラは自動化が進み~と書かれたのはようやく35ミリ版が普及し始めた頃であるが、デジカメ全盛の現代でもまったく褪せることがない。
 「山の魔術師」はこの「私の山岳写真」の続編として書かれているが、この2冊の間に実に31年という年月があることを感じさせないのはすごい。これだけ変節しない人も珍しい。ある意味非常に頑固なのだと思うが、でなければこれだけの作品は撮れないのだろう。

田淵行男関連著作一覧

私の山岳写真
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田淵行男「山の意匠」

山の意匠
田淵行男の写真集「山の意匠」を読んだ。
「山の時刻」「山の季節」と続く3部作の最後である。
「山の時刻」のあとがきで3部作の予告を読み、当時はまだ「山のパターンとフォルム」という題名
を見て、ちょっと奇をてらった写真集なのではないか、という懸念が読む前にはあった。
 しかし田淵にすれば「意匠」の組み込みが不十分だったのかもしれないが、あまり違和感なく読めた。写真の印刷も3部作の中ではいちばん良い。


あとがきに3部作の写真の種別が出ているので一部を引用する。


題名本文カラーモノクロ写真カラーモノクロ
山の時刻164頁60頁79頁84点37点47点
山の季節208頁80頁112頁122点56点66点
山の意匠240頁110頁130頁185点100点85点

という感じで、後になるほどページも増え、カラーも増えている。
山の意匠

 ただカラーが多いからいいかというと、田淵の写真に見慣れたせいか、そうともいえない。
3部作の中では最初に読んだ「山の季節」の印象が強く、やはり一番いいかな、と思う。ちょっと難ありの安めの古書をゲットした。「山の時刻」は読んだときにも感じたが、やや力が入りすぎで、写真により好みが分かれる。この「山の意匠」は題名ほどはパターンとフォルムには凝っていないが、蝶やスタンプ、虫や山道具の形など、「意匠」を意識したものもそれなりにある。

 ぜんぜん話は変るが、巻末のエッセイなどで初見の本なのに読んだ記憶のある文章が多いなと感じていた。主義主張がデビュー当初から最後まであまり変らないせいもあるが、実は「黄色いテント」「山の手帖」で読んだ文章が多いことに今更のように気がついた。とはいえ手元には2冊ともないので確認はできない。
 「山の意匠」のエッセイでは「アルビノ」については「黄色いテント」で読んだ覚えがある。
また、自らは標本をほとんど持たず(すなわち捕獲して殺さず)、蝶のさなぎや幼虫を育てて野に帰している生態学者としての田淵が、研究やましてやマニア相手の商売のために蝶が大量に捕獲される現実を悲しみ、怒りをあらわにしているのが印象的だった。

 さて、山の三部作のあとは麓からの山ということで「安曇野」と「安曇野挽歌」を読まなくてはいけない。「安曇野」は購入した。「安曇野挽歌」は地元の図書館を通じて都立中央図書館からの借り物で期限が区切られている。

田淵行男関連著作一覧

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川崎精雄「雪山・藪山」

川崎精雄 雪山・藪山
川崎精雄「雪山・藪山」をやっと読み終わった。
「雪山・藪山」というなかなかの題名も川崎精雄の名前が付くとやわらかい印象がある。同じ川崎さん(と、先ごろ逝去した望月達夫氏編)の「静かなる山」など低山徘徊のシリーズを彷彿とさせるからである。これが同じ題名でも著者が志水哲也あたりになると厳しい冬山と日高あたりの深山を突破する冒険譚に思えてくるだろう。
 とはいえこの本の記された山行が低山徘徊かというとそうではない。
 美文かというよりは淡々としたエッセイスト(氏の本業が銀行員だったせいか?)でもある川崎さんが綴る記録は、1929年から戦前あるいは60年代までを中心とした、主として会津など南東北を中心としたスキー登山や藪山行で、当時の装備を思い浮かべながら読むと、なかなかの厳しい山行ばかりである。
 「この山の魅力は道がないことだ」という意味の言葉が何度も出てくる。
宮下啓三氏が解説で「中高年の登山者に川崎さんのこの山岳紀行と随想と俳句を集めた自選の作品集を玩味していただきたいと思う」と昨今の中高年登山ブームに警告を発しているが、他山の石としたいところである。

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