田淵行男 「黄色いテント」
1985年に刊行された田淵行男の初の随筆集が「黄色いテント」。当時の価格3,800円もけっこうな価格だが古本はもっと高い。今回もまた図書館のお世話になった。
最初の企画から30年近くたって完成したエッセイ集はさすがに中身が濃い。
山頂の石、アルビノ(先天性白皮症・白子症などともいう。先天的に皮膚や髪のメラニン色素が無い、あるいはほとんど無い症状のこと。またその症状を持つ人や動物のこと。田淵の場合は高山植物が主体 )収集などちょっと余人とは違うところから始まり、山の怪奇談、滑落ときて常念岳登頂206回の「一山百楽」になっていくのかなあ。
山に関わるエッセイとしては抜群に面白い。時代の差、装備の差、山の混雑度の差などさまざまな要因にもよるのだろうが・・・。最後には「山の紋章 雪形」刊行以降の雪形の情報も忘れていない。
この本でも中村清太郎の文章が引用されていた。山の怪奇談の中の「樹木動く」である。
中村が餓鬼岳で鷲羽岳を描いていたときの枯れ木に近い木の様子を記した文章で、「山岳渇仰」に収録されている。あれ、そんな話あったかな、と最近入手した日本山岳名著全集11の「山岳渇仰」を見てみたがない。仕方ないので昭和19年刊行の初版本を取り出すと、あった。山岳名著全集に収録したものは抄録のようだ。こういうのは困るなあ、抄録ならそう明示してくれないと・・・。
しょうがないので、こちらに初版本の目次画像を加えた。
P.S 中村清太郎でググッたら、このブログが2位に・・・、それだけ情報がないということ。けっこう悲しい
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