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田部重治「わが山旅五十年」

わが山旅五十年    平凡社ライブラリーわが山旅五十年
 二見書房の山岳名著シリーズ、田部重治「わが山旅五十年」は、最初に買った山の本である。実家にあったものが廃棄されてしまったので、平凡社ライブラリーで復刊を知り入手しておいたが、なつかしい二見書房のものを先般、古本で入手した。

 明治42年(1909年)から昭和20年(1945年)までの記録なので「五十年」には看板に偽りありであるが、出版が昭和39年(1955年)なのでそういう題名になったのだろう。

 木暮理太郎との出会いから、日本山岳会の辻本満丸、小島烏水を交えた中村清太郎との出会い、その後の大黒茂谷の遭難ほか戦前の記録がたぶんすべて網羅され、昭和19年の木暮の死を以って山から遠ざかるところで終わる。

 戦前の教科書に掲載されて有名になった「数馬の一夜」や「笛吹川を溯る」は収録されていないが田部の山の記録の集大成といえる。

 さて、この本をはじめ年末からいくつかの古本を購入していて今更ながら気がついたのだが、有名な本は初版をはじめ、文庫やら復刻版やらいろいろな版が出版されるが、そのひとつひとつがかなりの程度異なっている、ということである。
 それは作者自身による校正の要望から出た手直しであることもあるが、収録されている文章の多寡、挿絵や口絵など装丁に関係するものなど多種多用であり、これらの違いを見ているとすべての版がほしくなってくるのが困る・・・。

 昭和39年に桃源社から初版が刊行された「わが山旅五十年」も手元にある平凡社ライブラリーや二見書房のものとかなりの違いがあるのでは、と思うが桃源社のものは1万円以下では入手できないので当分はあきらめることにした。

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