障害者自立支援法の勉強会
障害者自立支援法の勉強会なるものに参加してきた。
司会は都議:原田恭子、講師は前回の総選挙であの伊藤公介に破れた民主党 石毛えい子
障害者自立支援法とは、今年から施行される法律で、概要から引用すると
「障害者の地域生活と就労を進め、自立を支援する観点から、障害者基本法の基本的理念にのっとり、これまで障害種別ごとに異なる法律に基づいて自立支援の観点から提供されてきた福祉サービス、公費負担医療等について、共通の制度の下で一元的に提供する仕組みを創設することとし、自立支援給付の対象者、内容、手続き等、地域生活支援事業、サービスの整備のための計画の作成、費用の負担等を定めるとともに、精神保健福祉法等の関係法律について所要の改正を行う。」というもの。
まことに口当たりのよい説明であるが、要は、予算がなくなって来たのでこれまで以上に補助は打ち切るぞ、という趣旨で、成立以前から相当に問題ありとのことでいろいろ場所で批判があったが、郵政民営化のどさくさで成立した。
施行細則が整備されないまま、支援制度が有料化だけが明確になっているので障害者はもちろん自治体も混乱しているので、いったい何が変るのかを確認しに行った。
10分前に会場につくとそこは控え室かと思うような小さな場所で、参加者は全部で十数名というところか。以下は資料の抜粋。
現在は個人単位で補助の金額が決まったが、今後は世帯単位になる。
大きくは2つ。
1.福祉サービスの利用負担額
福祉サービスとは障害のある人のための通所施設、通所サービス、ホームヘルプ等のこと。例えば外出や留守番が困難な障害者を持つ家庭が外出時に施設に一時的に預ける、そのための送迎をしてもらうなどのサービスである。
原則は1割負担となるが、下記の上限額を設定する。
世帯収入 | 月額負担額 |
一般世帯 | 40,200円 |
市町村民税非課税世帯1 障害基礎年金1級を含みほぼ年収300万円以下 | 24,600円 |
市町村民税非課税世帯2 ほぼ年収80万円以下(障害基礎年金2級相当額) | 15,000円 |
生活保護世帯 | 0円 |
同じ世帯で別の人が障害福祉サービス、介護保険のサービスを受けている場合は合算額の上限が上記の金額となる。
上記のほかにさらに年収が低ければもう少し軽減措置がある。
【資産350万円以下で社会福祉法人のサービス利用時】
低所得1:15,000円→7,500円
低所得2:24,600円→12,300円
利用者負担により生活保護世帯に該当する場合は、該当しなくなるまで負担を下げる。
【食費・光熱水道費】
原則全額自己負担。ただし世帯所得が低い場合は1/3にする(月22日で5,100円程度)
収入が低い場合、サービス利用者負担と食費負担をしても手元に2.5万円残るようにします。
2.医療費の自己負担
精神障害者など恒常的な通院や多くの常用薬の服用が必要であるが、医療費についての自己負担が変わる。
世帯年収 | 月額負担額 | 重度かつ継続的な場合 |
一般世帯 | 対象外 | 20,000円 |
中間所得(市町村民税20万円未満) (市町村民税2万円未満) | 40,200円 | 10,000円 |
10,000円 | 5,000円 | |
低所得(市町村民税非課税かつ本人収入80万円超) (市町村民税非課税かつ本人収入80万円以下) | 5,000円 | |
2,500円 | ||
生活保護 | 0円 | 0円 |
市町村民税額はいずれも所得割の金額
【重度かつ継続的な場合の当面の判定】
・疾病、症状等から対象となる者
精神:統合失調症、躁うつ病・うつ病、てんかん、認知症等の脳機能障害、薬物関連障害(依存症等)
精神医療に一定以上の経験を有する医師が判断した者
更生 ・育成:腎臓機能・小腸機能・免疫機能障害
・疾病等に関わらず、高額な費用負担が継続することから対象となる者
精神・更生・育成 医療保険の多数該当の者
要は個人でなくて世帯年収で決めますよ、ということ。
世帯年収の仕切りは上記1が2よりも厳しい。(2は年収7百万円程度で補助なしとなる(下記注参照)が、1は年収3百万円以上で最高額の負担となる)
・例えば通所施設に通う場合には一般世帯だと毎月の負担額は
負担額上限(40,200円)+食費実費(15,300円)+光熱費実費(?)=55,500円+?
年間で70万円程度かかる。大学なみ・・・、しかも大学は4年で終わるがこれが永遠に続く・・・。
・低所得者の場合はいろいろ負担軽減してもらって就労しても手元に残るのは月に2.5万円!
ある本によれば生活保護世帯は親子3人で年収440万円クラスの生活ができるらしいから、こっちの方がいい、という人も出るだろうなあ。
ところで「資産350万円以下」って誰がどうやって調べるんでしょう?
(注)2.医療費で市町村民税額の所得割が20万円とは、年収ベースで換算すると、夫婦子1名で控除(給与所得控除、基礎控除、配偶者控除、扶養控除、障害者控除、社会保険控除(国民年金))を考慮すると、給与所得者でざっくり710万円くらい。
従来と近い負担で済ますには世帯分離の必要がある。世帯分離とは要するに世帯主の控除からはずすということで同居は認められるが扶養しないことが前提となる。したがって世帯主が夫の場合、夫でひとつの世帯とし、妻と子供で別の世帯とすれば妻と子供の世帯は年収が低くなる。
2については、特に精神障害者で家族には内緒で診療している人、32条申請をしている人などに大きな打撃となろう。通院できなくなり、自立支援法施行で自殺者が増加するといわれている。
以下は発言者を含め記憶によるものであり間違いがあるかも。
石毛:はっきりしていることは、必ず負担が増えることだけ。
原田:T市のW市長は世帯分離すればいい、と言ったのでT市では世帯分離を認めるのかなあ。
石毛か原田:障害者から負担金を取る国は先進国では日本以外にはほとんどない。
石毛:そもそも本人に過失がなく障害になっているのに負担を求めるのは妥当なのかという議論がされていない。
参加者:小規模な通所施設をやっているが4名の障害児を1人で面倒見ろと指導され、その分しか支払いがないが、多動の子やトイレの介護が必要な子がいる場合それでは廻らない。 また従来はなかった本人への負担額の請求事務が発生するが、この点も考慮されておらず、施設運営側にも負担が増加する。
P.S この勉強会の直前に開催されたT市の市長や議員も参加する障害者関係の集会には、たぶん来ないだろうとの大方の予想を裏切りあの伊藤公介が堂々と登場し、W市長は去年とはうって変わって露骨に嫌な顔をしたかどうかはわからないがすぐに帰ってしまったとか。
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