志水哲也「黒部からの言葉」三部作
志水哲也さんの写真集を3冊図書館で借りてみた。
左の写真の3冊である。「黒部からの言葉」シリーズというもので、氏がもっとも力を入れた幻の滝、そして下の廊下と上の廊下と源流の3冊。
「幻の滝」は氏の独自の撮影に加えて、NHKのロケ隊とのものだ。TVでも放映された「緑の台地」までのザイルシーンも出ている。
B6版と通常の単行本と同じサイズで、一般的な写真集よりは小ぶりであるが、その分、価格も安価である。出版にまつわる事情もあったのかもしれないが、このサイズ、この価格での写真集は貴重だ。大きめの写真集だと本棚から取り出すのも読むのにも力が要るが、通常の本と同じだと気負いなく読める。しかもこのサイズの単行本によくあるソフトカバーではなく、立派なハードカバーである。
この考えは著者にもあったようで3冊めの最後に「「黒部」(氏の最初の写真集)と「黒部物語」(写文集)はそれなりの気負いを持ってページを開いてほしい本。一方、シリーズ三部作は寝る前に枕元に置いてもらえる、絵本のようなものにしたかった」とある。あとがきを見ると三部作がすっぽり収まるケースもあるようだ。
さて、ぼくの好みではやはりもっとも絵本的な「上の廊下と源流」だろうか。「幻の滝」は絵本というにはちと厳しい迫力だ。資料的価値や志水らしさ、という点では三部作の先頭を飾るにふさわしい。同じ激しさの系統に「下の廊下」が続く。
TVを見ただけではこの三部作を見てもあまり感じるものはないかもしれないが、先日、「大いなる山、大いなる谷」を読んだばかりなので息遣いが聞こえるように思えた。いい本だと思う。
p.s これを書いたあと、DVDに録画した志水さん主演?のNHKTV「黒部 幻の大滝」を見てしまいました。ぼくが録画したのは教育TVで放映した20分の短縮版。ハイビジョンでやったフルのヤツを早く再放送してほしい。
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