JR西日本は変わるのか
JR西日本の尼崎脱線事故の原因や経過や各種の状況が判明するにつれて、JR西日本の体質や体制が非難を浴びている。まあ、当然だろう。
事故の直接の原因が車両の不良やレールの問題ではなく、オーバーランによる遅延挽回のための速度超過によるものであることが早い時期に推定されたが、その後、JR西日本に限らず各社でオーバーランが報告されている。ひょっとすると通常時でも同程度発生しているのかもしれないが、昨今の状況ではオーバーランしただけでTVやメディアにニュースとなって流れ、それが他の運転士にも心理的な影響を与えているであろうことは想像に難くない。
事故前のオーバーランの距離の過少報告や最近判明した同乗したJR西日本社員とその上司の対応など、悪いニュースしか出てこないのが現状である。
はたしてJR西日本は変われるのだろうか。
新たな不祥事が発覚するたびに「被害者や遺族の感情を逆なでする話ですね」とマスコミは報道しているが、「新たな不祥事が発覚する」ことについて、評価すべきでは、と思うことがある。
それは、これらの事実がJR西日本自らによって報告されていることである。
もちろん「隠していてもいずれわかる」という判断はあっただろうが「いずれわかるのだから報告しよう」と考えるか「わかるまでは黙っておこう」とでは大きな違いがある。たぶんこれら事後発覚した不祥事を公開するかどうかはJR西日本の広報部はもちろん経営層が判断しているはずであり、場合によっては「報告しない」と判断されたものもないとはいえない。
しかし、同乗した社員の行動などはJR側が報告しなければまず判明しない事象であり、ましてや社員が対応を乞うと「遅刻しないように出勤せよ」と指示した上司(係長)の発言などは係長がさらに上に報告し、経営まであがるルートがなければ報告されないだろう(4月25日の出来事の報告が今までかかった点に難はあるが)。
いずれにせよ、JR西日本にはこれを機会に大鉈を入れる必要があるだろうし、その覚悟は少しはできているのではないか。事故とその原因・遠因はいくらでも非難できるし、そうあるべきであるが、少なくとも悪い報告をあげている点についてだけは、前向きに評価し、彼らも変わるつもりなのだなと考えたいと思う。
裏切るなよ、JR西日本。
P.S 事故後2日たって公開された決算報告書を見てみた。(こちら)
・利益処分案から役員賞与はなしになっていたが、「経営の基本方針」に「安全」の文字は見当たらなかった。
・「対処すべき課題」の中に、「運輸業につきましては、鉄道事業の根幹である安全安定輸送の確保に向け、社員一人ひとりが果たすべき責務に重点を絞った指導の徹底や、保安装置の拡充・改善などソフト・ハード両面からの取り組みを推進し、事故防止に万全を期してまいります。」とあった。
ま、2日ではここまでは手が回らなかったようだ。
Recent Comments