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中村周一郎「北アルプス開拓誌」

本丸に書いた内容と同じです。

北アルプス開拓誌

中村周一郎「北アルプス開拓誌~近代登山の基礎を築いた、山の先駆者たち」を読んだ。
面白かった。

著者の中村周一郎という人の名は初めて聞いた。
初版は1981年だが著者は明治33年(1900年)生まれとあるから、初版時でも80歳を越える高齢である。読んだのは改訂第一刷(1995年)。出版元である郷土出版社は松本にあるから地元の研究家だろうか(著者の生まれは神城である)。

この本であげた山の先駆者たちは、穂刈三寿雄、百瀬慎太郎、松沢貞逸、鹿島のおばば(狩野いく能)、ガイド3人(嘉門次、喜作、遠山品右衛門)、そして最後に播隆上人である。
 通常、この種の山岳登山史ではウェストンをはじめ初期のパイオニアの人たち、すなわち実際に登る人がテーマであることが多いが、この本は山小屋を建てたり、登山者の世話をしたりした人がテーマなのが変っており、それだけに興味深く読める。
 山小屋に泊るということを久しくしていないが、それでも時折は小屋にお世話になることはある。そんなときに、どうしてこんな生活をやっているんだろう、と素朴な疑問を持つことがある。
 割りと最近の人の本では雲取山荘の新井さん八ヶ岳黒百合ヒュッテの米川さんの本を読んだことがあるが、黎明期の人の話を読むのは初めてだったのでとても興味深く読めた。

以下、この本での登場人物

穂刈三寿雄:苗字から槍ヶ岳山荘の関係だろうと思ったがその通り。播隆上人をめざして山小屋建設にかける意気込みは興味深い。

百瀬慎太郎:石川欣一の本でその名前はよく見ていたので、大町の旅館の主だとは知っていたが、百瀬が隻眼であることすら知らなかった・・・・。

松沢貞逸:白馬山荘をはじめ栂池スキー場などの一大リゾート「白馬」を興した貞逸とその後継者の話は下手な企業小説よりも面白い。

鹿島のおばば:この人の話は知らなかった。途中から開始した「登高」という宿帳の名簿やそこに記されたコメントの豊富さが凄い。

ガイド3人:嘉門次についてはウェストンの話で何度も登場するが、喜作新道の小林喜作についても、黒部の主の品右衛門も初めて読んだ。

播隆上人:については以前に新田次郎「槍ヶ岳開山」を読んだので内容はほとんどが既知のことであった。そういえば穂刈三寿雄は新田次郎よりもはるか以前に「槍ヶ岳開祖・播隆」を出版している。

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