「落語の国からのぞいてみれば」

落語の国からのぞいてみれば
 堀井憲一郎「落語の国からのぞいてみれば」は講談社の広告誌「本」に連載している「落語の向こうのニッポン」を新書化したものである。8月号の連載ではこの本について述べている。「本」の連載がなかなか面白いので、新書も読んでみたが、内容はなかなか良いが新書にまとめてみると連載中に感じたくせのある文体が気になった。落語の本なのに、センスのない駄洒落やまるで口述筆記したような余計な文末の一言が多すぎる。「本」に1回で連載する量であればそれほど気にはならないが、まとまると鼻につく。
 この傾向は同じ作者の「『巨人の星』に必要なことはすべて人生から学んだ。あ。逆だ。」は題名からだめだったが、やはり途中で嫌になってやめてしまった。

 しかし、この本、視点はなかなか面白い。落語を聞く上での基本的な知識ともいえるし、文明批評はいいすぎにしても比較文化論ともとれる。基本は落語の舞台となる江戸時代とそれを聞く現代との人々の意識や常識の差である。
 たとえば旧暦と月の満ち欠けはさすがに現代人でもわかるが、夜の真の暗闇を知らない現代人には日付=夜の明るさを示すことが実感できないと行った現代との感覚や慣習、常識の違いを述べていく。
 まだ連載中なのでこれから書かれるテーマもあるし、本書のなかで随所に触れられているが、江戸の地理感覚について独立したテーマがあってもいいかなと思う。

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「耳すま」ツアー(その2 地球屋)

 13日の日曜日、炎天下をものともせず「耳すまツアー(その2)」に行って来ました。
 というほどの話ではなくて、聖蹟桜ヶ丘で見つけた床屋さんに寄った帰りに暑かったのでどうせなら「地球屋」のモデルとなった「邪宗門」でお茶しようと思っただけです。
 場所は以前に確認したので迷うことなく進んだのですが、ちょっと近道をしたらすっかり間違え、ちょっと迷いましたがほどなく到着。
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 中は昼間というのに、薄暗い。お客はいない。
 汗をかいたのでアイスコーヒーと言いたいのを我慢してホットコーヒーにした。コーヒーが出るまでに汗も引くだろう。
 それにしてもこんな住宅街のど真ん中の路地で商売になるのだろうか。
 ケーキセットもメニューにあるようなので、平日の昼間は近所の奥様方のたまり場になったり、あるいは宮崎駿がいた日本アニメーションの多摩スタジオも近いので(だからモデルになったんだろうが)アニメやさんたちのたまり場になるのかもしれない。
 が、壁じゅうに架けられた動かない柱時計(1つは動いていた)。周囲に置かれている割と小型の古いカメラや映写機の数々・・・。ほとんど趣味で商売をやっている印象。
 壁にはヴァーブやブルーノートのポスターもあるのでいちおうジャズも流すのかな、と思っていたら、それまで流れていたラジオの音が消えてジャズが静かに流れ出した。

 ホットコーヒーはあまり濃くなくさらりとしていて良かった。

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「コマ大数学科特別集中講座」

「コマ大数学科特別集中講座」
ビートたけしと竹内薫の「コマ大数学科特別集中講座」を読んだ。

 フジテレビ系列で木曜深夜(金曜未明)に放映している「コマ大数学科」を見たのはつい最近。放送開始は06年4月ですでに放映90回を超えるこの時間帯では長寿にはいる番組である。たけしが明大工学部(中退)という立派な理系なので少なくとも文系のぼくよりも数学が得意であろうことは想像できるが、何回か番組を見てみると、かなりのレベルではないか、特に本人もなぜかわからないけど答えはこうだな、という直感が鋭い。
 読む前はTVのクイズ番組が放送が終了した過去問題を集めたものを出版するようなものかと思い、過去問題の多くが収録されているのではと思っていた。もっとも発行が放送開始の2006年の12月だが・・・。
 しかし、過去問題は6問のみで間をつなぐたけしと竹内薫との対談や数学の話が面白い。高校時代、数学だけは東大進学者よりも出来たたけしと映画監督北野武とたけし軍団のたけしがバランスよく存在している。
 それと番組の解説者でもある竹内薫が数学と物理と両方の経験があるので、数学者や数学好きと物理学者との違いなどもわかり、それらを含めて数学が苦手な人でも面白い読み物になっている。

 ちなみに収録された過去問6つともまともに考えずに先を読んだけど、まじめに取り組んでもきっとできなかっただろうな。

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再び「猫の恩返し」

猫の恩返し
 TVをつけたら、ジブリ映画の「猫の恩返し」をやっていたので見てしまった。
 この映画を最初に見たときの感想は「ジブリで一番できが悪い」だったので、そう思いながら見てみたら、逆にけっこう楽しめた。
 もともと「耳すま」に登場する猫の人形のフンベルト・フォン・ジッキンゲン男爵の「バロンがくれた物語」によるものだから、「耳すま」外伝として見ると、主人公のバロン(鈴木プロデューサーが題名を「バロンがくれた物語」にしてほしいと提案したとき、森田宏幸監督は、「主人公はあくまでハルであって、バロンではない」と思ったそうだが。こちら)はもちろん、ムタ(=ムーン)がいい味を出していることにしよう。ムタは「耳すま」ではムーンのことを地球屋の近所の子供がつけた別名、ムーンは天沢聖司がつけた名前と知っていれば、最後の格闘シーンでムタがムーンと名乗るシーンもほほえましい。BGMも「耳すま」のものがこっそり(たぶん)2カ所でそのまま使われていた。
 ただ、やはり、ではハルは何だったでしょう?という印象だけは同じだった。
 だいたい、トラックの前に急に飛び出したら猫でなく自分が事故ってしまうけど・・・。


 全然関係ないというか「耳すま」で重要な素材となる「ラピスラズリ」はジブリでの初出は「天空の城ラピュタ」でしたね。主題歌・井上あずみ「君を乗せて」にもはっきり出てきたのに最近気がついた。パズーとシータが地下の坑道を歩いているときに出会ったポムじいが見せてくれた。


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泉麻人「キサナドゥーの伝説 」

泉麻人「キサナドゥーの伝説 」 泉麻人の職業を一言でいうと何になるのだろう。WIKIペディアではコラムニストということになっているが、その対象は今の時代よりも少し後ろを振り返っていることが多いようだ。そのあたりの趣向は外向けのものかもしれないが、まあわかりやすい。
 年齢が少し上なので、幼少から学生時代までの彼の記憶とぼくの記憶には少しずれがあるがまあ四捨五入の範囲でもある。

 小学校のこじんまりとした同窓会から始まるオジサンバンドの再結成や、転校して行方がわからない美少女を探す話がメインのこの小説の主人公は中学はみんなと分かれて私立に行き、今の職業は紀行ライターで名字が浅見。泉麻人の本名は朝井泉だから彼そのものである。

 出だしから展開やおおよその結末が読めてしまうのは彼の小説の欠点でもあるが長所でもある。彼が描きたいのは物語ではなく昭和の時代なのだから。とはいえ、この小説の結末はちょっぴり意外ではあったが、これも最後の方で読めてしまったのはご愛敬。
 やっぱり彼は小説よりもコラムのほうが生き生きとしているなあ。

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«中野翠「今夜も落語で眠りたい 」